無芸大食・読書亡羊~美味しいものと本と旅~

美味しいものと本と旅が至福であり、生きがい。インスタ映えや星の数じゃなく、自分がいいと思えたものとの出会いを綴ってゆきたいです

銀座「カフェ木村家」~進化あってこその歴史なのだ~

またまた朝ごはんシリーズです。この日は用向きまでの時間に余裕があったので、朝10時開店、木村家総本店2階の「カフェ木村家」さんに行ってみました。小さい頃から散々見慣れているお店なのに、カフェの利用は初めてだと気づき、我ながら驚きました。

この日のお目当ては、カフェで人気No.1という小海老のカツレツサンド。ある時期まで海老カツサンドにはさっぱり興味がなかったのですが、名古屋で「コンパル」さん(コーヒーも美味しい)のエビフライサンドを頂いてから、すっかり気になる存在になりました。どこにでもあるメニューではないので出会えたらラッキーぐらいに思っていましたが、不覚にも「カフェ木村家」さんにそれがあることは、最近まで知らなかったのです。

◆ 小海老のカツレツサンド(ライ麦パン)
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「カフェ木村家」さん小海老のカツレツサンドは、お行儀よく並ぶ海老の淡いピンク、レタスのグリーン、オーロラソースの薄黄色がとても綺麗で、折り目正しいという形容詞が浮かぶ端正な佇まい。何よりも、サンドイッチ1つにつき8~10尾使用されるという、カツの海老の密度がよくわかる断面です。
 
選べるパンはライ麦にしました。軽くトーストされたパンと、さっくりと軽やかに揚げられた衣のバランスがちょうど良く、ぷりぷり小海老が柔らかく歯を押し返してくる弾力感がたまりません。まろやかなオーロラソースはあくまでも引き立て役で、海老の旨みがしっかり堪能できる構成も素晴らしいと思いました。サイドのポテトサラダやピクルスも丁寧に作られた味で、オリーブ、プチトマトと共に、サンドイッチの合間の箸休めにぴったりで、飽きずに食べられる配慮も嬉しいですね。

銀座の中央通りに面した落ち着いた空間、丁重でスマートな接客など、銀座らしいお店の雰囲気と共に、背筋を伸ばして味わうのがお似合いのレディな一皿でした。最後の一口まで大変美味しく頂きました。

帰りがけには1階で、家人へのお土産を。銀座店限定の「あんバター」、季節商品という「杏あんバター」「杏のデニッシュ」、そしてこんなところで出会うとは!の「エンサイマダ」を購入。

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木村家総本店さん
には、どうしても苦手なあんパンのイメージが先行してしまい、これまで滅多に足を向けることがなかったのですが、定番に加えてパンのラインナップも日々進化しているのですね。まろやかなホイップバターと餡がソフトフランスパンで包まれたあんバター、杏の実も入った杏餡の新しい美味しさが味わえる杏あんバター、他2種共、とても美味しく頂きました。

小さい頃はお出かけ先として、成人してからは通勤路の風景として、木村家総本店さんはいつでもそこにある風景として存在していましたが、私が知らなかっただけで、お店はずっと進化し続けていたのでしょう。歴史ある看板が今尚変わらず守り続けられているのは、確固たるお店の理念を守りつつも老舗の名に甘んじることなく、時代に合わせて様々な知恵を絞って来られた賜物なのだなと思いました。

他の街と同様、銀座もかつての姿からどんどん様変わりしてゆきます。変わりゆく時代や消費者のニーズに応えながら「いつでもそこにある風景」として続けていくことの凄さに感服すると同時に、そんな風景を当たり前のものとして見ていた私こそが、進化していないのだと気がつきました。

ごちそうさまでした。

2015年8月某日の旅先: 銀座「カフェ木村家」さん

カフェ木村家カフェ / 銀座駅東銀座駅銀座一丁目駅
昼総合点★★★☆☆ 3.5