無芸大食・読書亡羊~美味しいものと本と旅~

美味しいものと本と旅が至福であり、生きがい。インスタ映えや星の数じゃなく、自分がいいと思えたものとの出会いを綴ってゆきたいです

ミッション:インポッシブル / ローグ・ネイション MISSION: IMPOSSIBLE ROGUE NATION~鑑賞後感~

※あくまでも個人的な感想です。一部作品のあらすじやテーマに触れている箇所がありますので、
まだこの映画をご覧になっていない方は、以下記述に目を通される際にはどうぞご留意ください。

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公式サイト

アクションやSFのようなスペクタクル映画を観るには、やっぱり映画館に限ります。自宅のリビングでは画面はまだしも、あの大音響は出せません!視覚と聴覚を総動員して、何にも邪魔されずにどっぷりワクワク感に身を投じることが出来るのが、映画館ならではの醍醐味です。

さて、「ミッション・インポッシブル」シリーズ5作品目。公開前から大きな話題を呼んだ、スタントなしのトム・クルーズのアクション始め、ザッツ・エンタテイメントな映画として楽しむには文句なしの痛快な作品。今回は、大好きなジェレミー・レナーの出番がやや少なかった気もするけれど、代りに、年をとってからの方が断然カッコいいアレック・ボールドウィンが登場したり、お馴染みベンジーの活躍が多くて嬉しかったです。悪役のショーン・ハリスも良かったし、ヒロインのレベッカ・ファーガソンは初見でしたが、彼女のカッコ良さにもシビれました。スウェーデンの女優さんは、お色気で終わらない、凛々しい美しさが魅力となっている人が多いですね。

トム・クルーズのことは好きでも嫌いでもないけれど、「ザ・スター」としての存在をしっかりわきまえて活躍している人だなぁと彼の映画を観るたびにつくづく感心します。良い意味で主役を張る以外あり得ない、堂々たる「スター感」が、演技以上の価値をもたらしている存在であることを、トムはきちんと自覚しているようなのが、潔くてカッコいいと思うのです。

彼のような「ザ・スター」の役柄は、信念に基づいた「オレ流」を貫き、周りに相談もなしで好き勝手に暴れまわるのがメインで、実際には見ちゃおれん!と細々フォローし、帳尻合わせするのは名脇役の皆さんなのだけれど、トムのような何物にも代え難いスター感が基軸に据えられているからこそ、見せ方の方向性にブレがないし、ジェレミー・レナーたちのような個性的な脇役の存在が、より「味なモノ」として光っているのでしょう。日本でいえば木村拓哉さんの「Hero」がそれ近いと思うのだけれど、あれも久利生公平のスター性があってこそ、それに引っ張られている他の検事と事務次官たちの個性や妙味が光っているのだと思います。
 
かつてマリリン・モンローがそうであったように、シンボリックな存在として認められた人は、外見ではなく才能を見てほしいと渇望するようで、イケメン俳優に限って演技派俳優としての名声や、チョイ役での個性にこだわっているように見えます。それはそれで悪くはないけれど、そんな風潮もどこ吹く風といつでも「ヒーロー」に徹するトムのような存在は、映画という娯楽やハリウッドにおいて、希有で貴重な存在なのだと感じます。トム・クルーズがそれを承知でヒーロー道を追求しているのだとしたら、むしろ非常にストイックでプロフェッショナルな人と言えましょう。

…なーんて理屈は置いて、ハラハラワクワクと純粋に面白がるのが勝ちです。雨続きの鬱陶しい気分をスカッとさせてくれる娯楽大作としてはうってつけの作品です!