無芸大食・読書亡羊~美味しいものと本と旅~

美味しいものと本と旅が至福であり、生きがい。インスタ映えや星の数じゃなく、自分がいいと思えたものとの出会いを綴ってゆきたいです

神保町「共栄堂」~カレーもいいけどりんごもね~

10月に入ると神保町に行かなくちゃ、とソワソワ落ち着きがなくなるのは、「共栄堂」さん焼きりんごシーズンが始まるからに他なりません。ご存知、神保町で最も古い老舗カレー店である「共栄堂」さんの名物は、独特のほろ苦さで唯一無二の味とも言える、絶品スマトラカレー。しかし、単なるカレー店のデザートを超えた焼きりんごの完成度の高さも特筆モノで、この味に恋い焦がれ、秋になると神保町へ、と気が急くのです。

◆ ポークカレー
肉カレーはビーフを選んでしまうことの多い私ですが、「共栄堂」さんでは断然、ポークカレー。具材ごとに分けて煮込んでいるのでソース(こちらではルウではなくソースと呼ぶ)の味がそれぞれ異なる中、ポークカレーは香ばしい苦みと渋い辛味のインパクトが一番強いソースだと思うのです。カレーの前に供される、さらっと系のコーンポタージュスープも、ほっとする味で、隠れた名脇役
 
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ソースポットを満たす黒みがかった褐色のソースが、スパイスの香りと共に運ばれてきました。久しぶりの訪問で変わらぬ旨さに感服しましたが、うっかりマイルールを失念していました…。こちらのカレーは、基本がライス多め・ソース少なめなので、ライスにまんべんなくソースがかかるつゆだく状態で食べたい向きには、ちょっとそぐわない配分なのでした。これはしたり。「ライスは少なめ、ソースは大盛り」のオーダーをゆめゆめ忘れることのないよう、改めて肝に銘じました。

◆ 焼きりんご
おまちかねの焼きりんごは、14時からのサービス。完璧なフォルムと、艶々と輝くワインレッドの美しい色味に、しばし見惚れます。私が不器用なだけかもしれませんが、皮を破ることなく、このように綺麗な形を保ったまま仕上げるには、火加減具合がとても難しいのです。

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そっと崩して口に運べば、シナモンの芳香と共に、口内に甘酸っぱいりんごの味わいが広がり、陶然となります。生クリームをかけると更にまろやか。カレー店で、こんなにうっとりとした気分になることなど、そうそうあるものではありません。一年ぶりの再会に感謝!
 
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ランチタイムが一段落してもお客さんは引きも切らず、席が空くことがありません。「共栄堂」さんの客層は、今も昔も老若男女問いませんが、焼きりんご目当てらしき女性連れが多いのは、やっぱりこのシーズンを待ちわびている人がたくさんいるからなのでしょうね。

久しぶりに頂いたスマトラカレーに、早くも舌が再訪を望んでいます。明日からの神保町のブックフェスティバル中はきっと混雑するでしょうから、来週以降に再訪したいと思います。ごちそうさまでした。

2015年10月某日の旅先: 神保町「共栄堂」さん

共栄堂カレーライス / 神保町駅新御茶ノ水駅御茶ノ水駅
昼総合点★★★☆☆ 3.5

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