無芸大食・読書亡羊~美味しいものと本と旅~

美味しいものと本と旅が至福であり、生きがい。インスタ映えや星の数じゃなく、自分がいいと思えたものとの出会いを綴ってゆきたいです

仙川「Lecume de Jours(レキュム・デ・ジュール)」~この雰囲気に染む女性でありたい~

細やかなケアが必須な年頃と承知しているものの、元来ものぐさゆえ、肌のお手入れほどにはヘアケアに情熱を傾けることが、どうしても出来ません。学生時代からのサロンジプシーを経て、気の合うスタイリストさんに巡り合い、サロンで過ごす時間への抵抗はなくなったものの、サロンに行くこと自体は正直今でも億劫です。今回も、面倒が先に立って延ばし延ばしにしていた挙句、どうにも収拾がつかなくなった末に、スタイリストさんに泣きつくべく、ようやく予約を入れました。

以前にも書いた通り、通っているサロンは仙川にあるのですが、ここ何年かで急激に賑わってきた仙川を散策するのが、ローテンションなサロン通いに弾みをつける原動力となっています。この日は、知り合いから「雰囲気のいい喫茶店がある」と聞いて、ずっと気になっていた「Lecume de Jours(レキュム・デ・ジュール)」さんに伺いました。

桐朋学園前の交差点の角にある2階のお店は、前の通りの喧騒(この道、狭いのに車の往来が多くて昔から苦手です…)が嘘のように静かで、ドアを開けた途端に広がる雰囲気のある世界観に瞬く間に包まれました。通りに面したドア側からの採光とランプシェードの明かりで、店内は暗すぎず明るすぎず、とても落ち着いた佇まい。静かに流れるBGMのジャズは、一人で静かに過ごすにも、会話を楽しむにも、邪魔になりません。

インテリアも素敵でした。漆喰の壁には柱時計が掛けられ、アンティークのアップライトピアノやギターがさりげなく飾られ、本棚にはたくさんの本が無造作に置かれていました。一枚板のカウンター席の他に、絶妙な間隔で配された木製のテーブルと椅子があるのですが、一人掛けのテーブルも広めですし、ベンチシートもあって、一人で来ても二人以上でもゆったりと寛げる雰囲気です(写真は手元の料理のみとの注意書きがあったため、内観の様子は記述のみとさせて頂きます)。

バゲットサンド(鴨と胡桃、生ハムとクリームチーズ
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フードは自家製ミートソーススパゲッティや、ホワイトシチューなど心ひかれるメニューも多く、この日は数種のフィリングから2種類選ぶバゲットサンドをオーダー。これが出色で、カリッと焼かれたバゲットにそれぞれフィリングがぎっしり。組み合わせのセンスと、丁寧で誠実な味わいで、生ハムとクリームチーズ鴨と胡桃のどちらも、とても美味しく頂きました。この感じだと、きっとミートソースも私の好みに合いそう。次回は他メニューにも是非トライしたいと思いました。

ブレンドコーヒー(レキュム)&ガトーショコラ
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初めて入る喫茶店では、ハウスブレンドを頂くことにしています。「レキュム・デ・ジュール」さんには、深煎りで苦味のあるレキュムと、中煎りでマイルドなジュールの2種があり、私は当然レキュムを。欲望に抗えず、ガトーショコラもオーダーしてしまいました。ぽってりと丸みを帯びたカップで供されるレキュムは、熱さも濃さも苦みも、全部私好み。バゲッドサンドを頂いた時にも感じましたが、ガトーショコラも気風の良い大きめカットで、嬉しくなりました。

店名は、ボリスヴィアンの「うたかたの日々」から命名されていると知り、この世界観に納得。喫茶店における居心地の良さは、どんなテイストであれ、ブレのない統一された世界観にあると思うのです。「レキュム・デ・ジュール」さんは、夜はバー&夜喫茶となるそうですが、この空間には、昼夜問わず身を委ねていたいと思わせるような、美学がそこここに感じられました。

サロンの予約時間が近づき、後ろ髪を引かれつつ渋々お暇しましたが、素敵なお店との出会いにすっかり気分は上々。お陰で、これからは面倒なサロン通いも楽しみになりそうです。いえ、それこそ、お店の素敵な雰囲気に馴染まぬことのないよう、問い正されるべきは、私自身の美意識ですね。ちゃんとお手入れしようっと!

ごちそうさまでした。

レキュム・デ・ジュール喫茶店 / 仙川駅つつじケ丘駅
昼総合点★★★☆☆ 3.7

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