無芸大食・読書亡羊~美味しいものと本と旅~

美味しいものと本と旅が至福であり、生きがい。インスタ映えや星の数じゃなく、自分がいいと思えたものとの出会いを綴ってゆきたいです

新橋「ビーフン東」~昼の新橋、やっぱりサイコー!~

私が社会人になって初めての勤務地は、ご存知サラリーマンの聖地・新橋だ。昔から働く人々のランチ天国でもあったが、今尚メディアでもたびたび取り上げられるほど、安くて美味しく、チェーン店ではない個性的なランチスポットが林立している。

今も新橋勤務だったらその恩恵に与って、毎日のランチタイムが楽しみでしょうがないんだろうが、
若かりし当時はその良さが分かっておらず、銀座方面のこじゃれたお店でばかりランチしていた。なんて馬鹿な私・・・。雑誌で組まれていたランチ特集を読んでいたら、いてもたってもいられず、この日はいそいそと新橋の「ビーフン東」さんへ。
 
汐留が出来て駅の北側の眺めは変わっても、新橋駅の周辺はちっとも変わらず雑多な雰囲気を保っている。駅とその周辺は、バリアフリーでアクセスしやすく、綺麗であってほしいが、駅舎のデザインが似ていたり、駅周辺のチェーン店がお馴染みのものばかりだからなのか、街の顔の代表である駅周りの様子が、没個性的になりつつある昨今。一方で、新橋を含む山手線沿線のいくつかの駅は、まだどことなく昭和っぽさを残していて、その変わらなさに安心する。

その良き昭和感を感じさせる要因のひとつは、南口のニュー新橋ビルや、
「ビーフン東」さんの店舗が入っている新橋駅前ビルなどの、古からのビルだろう。意味もなく怪しさを醸す全体的に暗めの照明、レトロ建築特有の冷たい石の手触りなど、ちょっとしたタイムスリップ感さえ感じる館内で、活気づく飲食店の賑わいが対極的で、すごくいい感じなのだ。

私と同行者も、駅前ビル1号館のせまくて古いエスカレーターを2階に上がり、
「ビーフン東」さんへ。同じフロアには、これまた人気店の「七蔵」さんも。このお店、昔は地下にあったんじゃなかったっけ・・・。

五目ビーフン(汁) 
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五目ビーフ
は汁ビーフンでオーダーした。白菜、豚肉、海老、筍、人参、ピーマン、きくらげ、ウズラ…と、五目どころか八
目の具がざくざく入り、食べごたえ十分。美味しいスープをたっぷり吸った主役のビーフは、
大きめの具材にもスープの味にも負けない存在感だ。他店でたまに遭遇する、汁気を吸ってのび切った素麺みたいな頼りないビーフンとは別物で、むしろ十分に水揚げされた茎のような、のびのびとしたしなやかさを感じる。ビーフってこういうものだよねぇと、ビーフの美味しさがよくわかる一皿だと思う。

◆蟹玉ビーフン(焼き)
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一方、卵のふわふわが汁気を吸ってしまうのがもったいない気がしたので、蟹玉ビーフは焼きで。誰もがよく知る、町中華の蟹玉のあの旨さが、
炒めてしっとりとなったビーフンに絡みつく感じがたまらない。決して濃い味ではないのだが風味豊かで旨味も強く、私は焼きの方がより好みだ。

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◆パーツァン(中華風ちまき
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ビーフ
と並ぶもう一つの名物・パーツァンは、うずらや角煮などの中の具が大きいため、当然本体も拳大以上のビッグサイズ。こんなに大切りの角煮が入ったち豪華なちまきは、めったにお目にかかれない。
こちらはビーフと違い、八角の香り漂う甘じょっぱい味がしっかりめについていて、1個でお腹いっぱいになる。

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周りの皆さんはそれを承知で、パーツァンと一緒に
オーダーするビーフは小サイズだ。なるほど。パーツァンと、普通サイズのビーフをぺろりと頂いた我々は、夕方になっても一向に空腹を覚えない、その腹持ちの良さに後々驚かされることになるのだった。

ランチタイムのピーク前からどんどんお客さんがやってくるが、サラリーマン(敢えてオフィスワーカーとは書かない)のランチ秘技である超早食いが多い上に、このお店にこれだけ・・・と思うほどの厨房の方+きびきびとフロアをさばくスタッフの方の連携で、客席の回転もガンガン流れてゆく。

この、一見忙しなさそうで秩序あるお店側のリズム感と、昼休みのいっときの解放感が醸す、お客さん側の肩の力が抜けたリラックス感。これが働く人々のランチタイムの空気感だよなぁ、となんだか楽しくなってしまった。夜の新橋もいいけど、やっぱり昼間の新橋が一番好きだな。

ごちそうさまでした。

ビーフン東台湾料理 / 新橋駅汐留駅内幸町駅
昼総合点★★★★ 4.0