無芸大食・読書亡羊~美味しいものと本と旅~

美味しいものと本と旅が至福であり、生きがい。インスタ映えや星の数じゃなく、自分がいいと思えたものとの出会いを綴ってゆきたいです

福井県福井市「ヨーロッパ軒総本店」~ココ目的での再訪必須~

豚肉料理の中では、とんかつと生姜焼きが断然好みだ。とんかつ好きなら当然カツ丼も好きで、自分のなかでは、『とんかつを食べに行く店』と『かつ丼を食べに行く店』には明確な区別がある。卵でとじた甘辛味の王道かつ丼はむろん、ソースカツ丼駒ヶ根verも福井ver共に)も大好きな私ゆえ、「福井のソースカツ丼を頂く」ことは、今回の福井旅の重要なミッションでもあった。

目指したのは、「ヨーロッパ軒総本店」さんだ。福井バージョンのソースカツ丼西荻窪ゆきとら」さんでも頂いたことがあるが、ソースカツ丼の発祥店とされる「ヨーロッパ軒総本店」さんに行かずして、福井を去るわけにはゆかないのだ。

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午前中に勝山の平泉寺白山神社を巡っていたので、移動スケジュールの関係でお店の前に着いたはちょうど昼過ぎ。空腹を宥めながら苦手な行列に並ばなくてはならなかったのは痛手だった。そりゃ人気店だもんね。しかし、店内に2階席もありキャパが広いのか意外と回転は早く、苦行は30分で終わり、救われた。(お店の外観写真は食べた後に撮ったもの。到着時は20組ぐらい並んでいた)

待っている間、前後に並んでいる人たちの会話を聞くともなしに聞くと、関西圏からのお客さんが多いようだ。東京に住んでいると、物理的にも心理的にも遠く感じる福井だが、関西圏にお住いの方なら車でパーッと出かけて食べに行ける距離なんだろうな。羨ましい…。

◆カツ丼(ソースカツ丼) 
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予め同行者と決めておいた通り、カツ丼ビーフカツ丼をオーダーしてシェア。セットのサラダはマヨネーズがかかっているタイプだそうで、マヨネーズなし、あるいは少なめで
オーダーできるようメニューに記されているのが、小さいことだがとても気が利いている。マヨネーズ味のサラダはあまり好みでないので、少なめでお願いした。

どちらのカツも肉が薄めで、きめ細かいパン粉をまとっているので、揚げ時間も短いのだろう、すぐに運ばれてきた。丼物は、蓋を取る瞬間のこのワクワク感も好きだ。ふわっと立ち上る揚げ物とソースの香りで、空腹MAXの私は悶絶せんばかり。

カツ丼、ビーフカツ丼共に、ご飯の上にカツが3枚載る。脂身が少なく、ごくごく細かい揚げ衣のカツなので衣と肉に一体感があり、さくさくっと歯に馴染む。油を吸った衣のどっしりと重たい感じがないので、一枚がするりとお腹が収まってしまう軽やかさだ。

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同じくその形状ゆえ、粘度の低いシャバシャバ系のソースの染み込み具合も良いいのだが、このソースの味も決め手で、香味野菜の風味こそ豊かだが、あっさりさらりとしているので、カツが浸っていようとも、ちっともくどさを感じない。このパウダー状の細かなパン粉と、ソースの風味なくしては、「ヨーロッパ軒総本店」さんのカツ丼を語るのは難しかろう。

ビーフカツ丼
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ビーフカツも、短時間で火が通っているので肉が柔らかくて、箸で簡単にちぎれるくらいだ。豚肉よりも肉の甘みが少ない分、ソースの深みと相まって武骨でダンディな味わい。ご飯が進むのは間違いないが、こちらは単品でビールとつまむんでも抜群の相性かも。

創業当時の日本では豚肉を食べる習慣があまりなかったため、こちらのお店も当初は牛カツから始まったのだとか。メニューに牛のキャラクターが描かれているのは、そんな由来からだそう。
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そして!カツ丼の重要な相棒である、福井のいちほまれのご飯が、とびきり美味しい。艶々のいちほまれは前述の「ゆきとら」さんで体験済みだったが、
改めてその旨さを実感した。私はとりたてて米食いでもなく、この舌で米の銘柄の区別がつくかも怪しいくらいなのだが、カツ丼自体の旨さと同じくらい、お米の旨さにも感動して、激しく同意を求めては同行者にうるさがられた。

丼物はご飯の盛りが良いものが多いので、
配分を間違えて残ってしまったご飯を持て余すこともある私なのだが、ソースの染みている部分も、真っ白な米粒部分も、それはそれは美味しく頂いた。
 
とにもかくにも、カツ、ソース、ご飯のどれもが秀逸な上に、バランスもが素晴らしいこのカツ丼、旨さに夢中でかき込んでいるうちに、気が付いたら食べ終えてしまうこと必至だ。この軽やかさは他のお客さんも承知しているようで、カツ丼だけでなく、季節柄美味しい牡蠣フライや、エビフライなどの単品を追加している方も多かった。ソース味カツという名前でカツ単品もあったので、私も食べ終えてしまう前に追加しておけばよかった・・・。

心理的満足度は高かったのに、どこに入ったのかわからないくらいするっとお腹に収まってしまったので、帰り道の福井城址のお堀を歩きながら、また食べたくなってしまって、困った。
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ところで、一定額以上のサービスとして、お会計の際にこちらのソースの小瓶をお土産にもらえた。秘伝のソースをこんなに簡単にサービスしてくれるなんてうれしい!しかし、このソースを使って自分でソースカツ丼もどきを作ってみても、当然ながら同じにはならない。あのパン粉、あのお米あってこその味なのだ。

帰ってきてからもいよいよあの味を舌が求めるので、もう一度
ソースカツ丼を食べるために福井駅に降り立ってもいいなぁ・・・なんて思っている。ごちそうさまでした。

ヨーロッパ軒 総本店かつ丼・かつ重 / 福井城址大名町駅仁愛女子高校駅足羽山公園口駅
昼総合点★★★★ 4.0