無芸大食・読書亡羊~美味しいものと本と旅~

美味しいものと本と旅が至福であり、生きがい。インスタ映えや星の数じゃなく、自分がいいと思えたものとの出会いを綴ってゆきたいです

中野「カルタゴ」~耳そばだてる料理にびっくり~

蒸してじめじめしてくると、さっぱり清涼感のあるものやパンチの効いたスパイスたっぷりの料理を食べたくなり、中野駅南口にある「カルタゴ」さんにお邪魔しました。こちらは地中海料理と銘打っていて、トルコを始めアラブやチュニジアの料理も頂ける各国料理の老舗。店内は照明も壁のタイルもオリエンタルで、彼の国の雰囲気たっぷりです。

◆ 冷製オードブル
ひよこ豆のフムス、焼き茄子のディップ、挽き割り小麦の「ブルゴル」が入ったが入るタッブーレというパセリのサラダ、松の実が入った葡萄の葉のピラフ包み、そしてチュニジアサラダの5種盛り。
 
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焼き茄子のディップは、焼いた茄子の香ばしさとねっとりした食感がたまらないトルコ料理の定番ですが、滑らかなフムスと共に私の大好物。アラビアパンにたっぷりつけて頬張ると止まらない美味しさ。
 タッブーレは、パセリだけでなくミントも入っているようで、蒸し暑い夜に涼を呼ぶサラダです。レモンの香りもさっぱりとしていて、いくらでも食べられそうな爽やかさ。
チュニジアサラダもなんてことない角切り野菜のサラダなのに、後を引く美味しさなのは、スパイスが効いているからでしょうか。この5種盛りだけでも十分リッチな気分が味わえる、贅沢な前菜。二人でシェアしても十分な食べ応えです。

チュニジアオムレツ
同席者のチョイス。スペインオムレツ風にしっかり火を通したタイプのものです。ハリッサをつけて食べるところが地中海風かな?
 
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◆ クスクス・ロワイヤル
久しぶりにクスクスが食べたかったのですが、ケバブも捨てがたく、ラムの串焼きと骨付きラム、メルゲーズ(モロッコアルジェリアチュニジア地方のソーセージ)が乗った、豪華かつお得なこのメニューをセレクト。
 
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ラムは柔らかくジューシーで、ひよこ豆や野菜がたっぷりのクスクスにも肉汁が染みて更にウマい!メルゲーズの方はちょっと辛くてスパイシー。はふはふ言いながらも手が止まりません。

キプロスノチーズ「ハルミ」
これでずいぶんお腹いっぱいだったのだけど、ここで食べておかないと、どうしても後々気になりそうだったのが、キプロスのチーズ「ハルミ」。食べるときゅっきゅっと音がするという説明が書いてあって、物凄く気になってしまいました。オリーブオイル揚げと直焼きの2種類がありましたが、ここはシンプルな直焼きをオーダー。
 
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果たして口にしてみると…本当にキュッキュッと鳴った!モッツァレラをもっと硬くしたようなかまぼこのような食感で、クセのない味わいなのですが、歯ざわりがこすれるような、きゅっきゅっとした何とも不思議な感覚なのです。おもしろ~い。
 
後で調べてみると、「牛、山羊、羊乳の混合物から作られるセミハードタイプの非熟成塩漬けチーズで、融点が高くフライやグリルに適する」そうで、茶色くなるまで揚げても溶けることがないんだとか。塩漬けならではの塩気がワインとも相性がいいと感じました。こういう意外な出会いがあるから、他国籍料理のレストランは楽しいんだなぁ。

最後は、パイ層のペストリーにしっとりシロップが染み込んだピスタチオのバクラヴァエスプレッソで。(いい感じに酔ってしまい、写真はうっかり撮り忘れてしまいました…) 

食べ歩きが好きなのでたくさんの「行きたいお店」をメモしてあるのですが、店主の方がご高齢で続けていかれるのが困難になったり、お店の場所とお客さんのニーズがうまく噛みあわなかったのか閉店を余儀なくされたりといった事情で、残念ながら巡り合えずに消えてしまうお店も多いのです。その地に根ざし、お店を続けていくということはいかに大変なことかと感じます。

カルタゴさんは、今年で創業25周年を迎えられたのだそうです。日本ほど各国料理をバラエティ豊かに味わえる国はないかと思いますが、地価も物価も高い日本で食材の調達や労力確保も考慮しながら本場の味を提供していく他国籍料理店は、並々ならぬご苦労があるのではとお察しします。気軽に彼の地の美味しいものを頂けることに感謝しつつ、客側としては、お店に足を運ぶことこそが、お店にとっての一番のエールになり得るのではと思っています。

また近々お邪魔したいと思います。ごちそうさまでした。
 

夜総合点★★★☆☆ 3.5