無芸大食・読書亡羊~美味しいものと本と旅~

美味しいものと本と旅が至福であり、生きがい。インスタ映えや星の数じゃなく、自分がいいと思えたものとの出会いを綴ってゆきたいです

神田「天野屋」~飲む点滴で夏バテ対策~

雨模様が止んだと思ったらいきなりの猛暑で、身体もなかなかついていきません。スポーツドリンクやビールもいいけれど、本当にバテた時に私が思い浮かべるのは冷やし甘酒。10年ほど前に出会って以来、夏が来るたびにあの風味に恋い焦がれ、いそいそと神田「天野屋」さんに足を運びます。

神田明神の門前にある小体なお店は、冷房もなく、やや暗めの店内はまるで江戸時代のような趣。1846年創業の老舗ということですから、お店に入るとタイムスリップ感を覚えるのも当然かもしれません。

甘酒は、寒い時期に熱々を頂くのも美味しいですが、冷えた甘酒がスーッと喉を滑り落ちていく爽快感は暑い時期ならではの楽しみです。糀を糖化させて作られるので、砂糖は入っていないはずなのですが、米本来のまあるく優しい甘味が舌の上で花開き、正に甘露・・・。

飲む点滴と言われるくらい滋養強壮や疲労回復の効果があるそうですが、そんな能書きを知らずとも、飲み終えた後は火照った身体から熱が逃げて、なんだか身体の芯の疲れがじんわりほぐれていく気が。
 
20090807 天野屋 冷やし甘酒

発酵食品だけにビタミンBやアミノ酸などが豊富で栄養学的にも非常に価値があるばかりでなく、美肌効果も高いことで最近俄然注目されている甘酒ですが、昔の庶民の人たちは、理屈ではなく身体でその効果を理解していたのでしょうね。野菜やスパイスなど食べ物を通して身体の調子を整える方法は東西問わず色々とありますが、つくづく先人の知恵は侮れないと感心します。

いつも冷やし甘酒ばかりオーダーしてしまいますが、なにやら氷甘酒も美味しそう。本格的な夏が到来したら、今度は氷甘酒を頂きに駆け込むことにしましょう。

ちなみに、「天野屋」さんの近くの湯島聖堂は、個人的には結構ひんやりスポットだと思っています。東京大空襲の戦災により建て替えられて朱色も何だか華々しい神田明神とは真逆の存在感で、御茶ノ水駅すぐそばの賑やかな喧噪に面しているのに、樹木に囲まれたひっそりとした佇まいで、いつ行っても訪れる人をあまり見かけない気が…。

本郷通り側から下っていくと、ぬっと現れる巨大な孔子銅像がなかなかの迫力で、夕暮れ時なんかだとちょっとぎょっとします。冷やし甘酒の後に散策してみると、より涼しさを感じられるかもしれません。

ごちそうさまでした。
 2015年7月某日の旅先: 神田「天野屋」さん

天野屋甘味処 / 御茶ノ水駅末広町駅新御茶ノ水駅
昼総合点★★★☆☆ 3.0