無芸大食・読書亡羊~美味しいものと本と旅~

美味しいものと本と旅が至福であり、生きがい。インスタ映えや星の数じゃなく、自分がいいと思えたものとの出会いを綴ってゆきたいです

麹町「サロン・ド・カッパ」~リッチな洋食カレー~

夏はインドカレーだなんて書いたばかりなのに、欧風カレーをお昼に頂く私の胃袋は矛盾だらけ。けれど、紀尾井町周辺に用事があり、イタリアンのお店でランチタイムだけ欧風カレーを出している「サロン・ド・カッパ」さんのことを思い出したからには、暑いのなんのと言ってられないのでした。

市ヶ谷から歩いていったので、つい「アジャンタ」さんに足が向いてしまいそうなところをこらえ、新宿通りへ。4丁目の交差点を渡ってすぐのお店です。レストランというよりバールぐらいの広さですが、オープンテラスにもなる全面ガラス窓なので、とても明るく開放的。フロアが白黒の市松模様で、イタリアモダンな雰囲気です。

一方で、入口の雨除けの庇部分(というのでしょうか?)が少し奥まっているので、暑い日差しが入りこむことなく涼しい店内です。さらに、並べられたグリーンのおかげで、表を歩く通行人から食べている姿をじろじろと見られることなく、落ち着いて食事が出来ました。小さなことですが、こういう配慮が行き届いているととても嬉しく感じます。

ランチは、「東京ブラック特製ビーフカレー「ロースカツカレー」、日替わりは「海老フライカレー」など5種類ほどランナップ。イタリアソーセージを使った「ハムカツカレー」も気になりましたが、トッピングがセットになったワンプレートランチなるものがあり、ゴーダチーズと目玉焼きが乗ったビーフカレーのワンプレートをお願いしてみました。サイドにサラダもついて、なんだかとっても豪華な一皿です。
 
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「東京ブラック」と冠のついたカレーですが、漆黒ブラックではなく飴色を煮詰めに煮詰めたような、艶やかなチョコレートブラックで、スプーンですくうと、とろみあるルウがしっかりライスに絡みます。

一口目は、ごくごく仄かながらワインの酸味、続いてまろやかな甘味とコク。辛さは殆ど感じられず、香りもスパイシーさよりも芳醇なデミグラスソースといったところ。なんとなく「七條」さんのカレーを思い出しました。他の野菜は恐らく煮とけてとろみに変わっているのでしょう、唯一形が残った牛肉もはほろっと崩れるくらい柔らかく煮込まれています。トッピングで味に変化が出るのが面白く、ゴーダチーズはコクが増し、目玉焼きを崩すとまろみが加わり、楽しみながら頂きました。量も十分でお腹一杯。

私はもともと甘味の強いカレーがあまり得意ではなく、年のせいもあるのかリッチな食感にやや腰が引けるようになってしまったので、欧風カレーを頂くのは実はかなり久しぶりでした。あくまでもビーフカレーに限っての感想ですが、カレーの爽快さを描いて食べてしまうと、ちょっと不意打ちを食らうかも。カレーというよりもハヤシライスのような味わいの一皿でした。

もちろん味は文句なく美味しいのです!そして、くどかったりもたれたりするようなこともありません。正統派の美味しさは、ホテルで出される結構なお値段のそれに匹敵すると思いますが、それを気取らずカジュアルな店内でリーズナブルに頂けるとあれば、リッチでゴージャスな洋食カレーを好まれる方には、ぜひおすすめです。私も次回は、ザ・洋食を頂く気分でお邪魔したいと思います。 

もうひとつ印象的だったのは、サラダと共に添えられた黄色いピクルス。マンゴーピクルスでしょうか?非常に美味しくて、熟し切っていない繊維が感じられる歯応えと、爽やかな甘酸っぱさがカレーと好相性の箸休めでした。

また、接客してくださった女性は学生アルバイト風の若い方でしたが、「客をさばく」ような変に手慣れた感じがなく、さりげなく気持ちがこもった応対をして下さいました。たまたま偶然漏れ聞こえた厨房のシェフとのやりとりもアットホームな感じで、全体的なお店の雰囲気にとても好感がもてました。

日本には本当にいろんなタイプのカレーがあるものです。やっぱりすごいな、カレー。
ごちそうさまでした。

2015年7月某日の旅先: 麹町「サロン・ド・カッパ」さん

サロン・ド・カッパイタリアン / 麹町駅半蔵門駅永田町駅
昼総合点★★★☆☆ 3.0