無芸大食・読書亡羊~美味しいものと本と旅~

美味しいものと本と旅が至福であり、生きがい。インスタ映えや星の数じゃなく、自分がいいと思えたものとの出会いを綴ってゆきたいです

立川「アンド・ザ・フリット」~万人受けの人気者、主役を張る?~

「ベルギーポテト」というジャンルが紹介されて久しいですが、考えてみたらベルギー料理って、これまであまり注目してこなかったなぁというのが、当初の感想でした。

アメリカはハンバーガー、イギリスではフィッシュフライ、ドイツはビール、フランスはステーキ、スイスならチーズ、スペインはオムレツ、ポルトガルは干しダラ・・・と、ことほど左様に連想ゲームが出来るほど、じゃがいも料理ってどの国でも相性の良い「ツレ」があるイメージだったので、料理の付け合わせでなく、ポテト単体にフォーカスしているというのも新鮮に思えました。

してそのお味は・・・?と遅ればせながら「アンド・ザ・フリット」さんに。広尾ではなく立川店です。立川に、しかもルミネ内にオープンしたとのことで、なんだか色んな意味で敷居が低くて嬉しい(笑)。とは言え、賞味するまでには、立ちはだかる幾つかのステップをクリアせねばなりません。
 
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① ベルギー産、国産、特別有色品種(レア)、さつま芋などのポテトの種類を選択。
② ストレート、ウェッジ、カールなどの6種類からカット方法を選択。
③ 塩の有無。塩を振るならプレーンか、ハーブか。
④ チーズやタルタル、マヨネーズ、スイートチリサワーなど10種類のディップから好みのものを選択。
⑤ 容器のタイプを選択。Flowerと呼ばれる花束タイプか、箱入りか。

個人的には、たくさんの選択肢から好みの組み合わせを選ぶのは(食べ物に関しては)苦にならず、むしろはりきってしまうタチで、このように細かく好みを選択出来るスタイルは楽しめます。でも、そうでない人は少々面倒くさいと感じてしまうかも。そもそも、どのイモにする?なんて聞かれても・・・。

この日は平日とあって空いていたので、店員さんにそれぞれのポテトの特徴などを尋ねながらオーダーしましたが、後ろに列が連なっている場合はそんなに悠長なこともしていられませんから、メニューにはもうわかりやすく、品種の特徴などの説明がプラスされていたら嬉しいなぁと思いました。せっかく専門店としてポテトにフィーチャーしているのだから、もう少しポテトのあれこれを語ってくれるとより楽しく、美味しく頂けるかも?

同行者と2人で試してみたのは、「国産北海こがね」のストレートカットにハーブソルト「ドラゴンレッド」のウェッジカットにプレーンソルト。ピクルスがついているのもいいですね。ディップは「3種のチーズ」と、立川店限定の「ジンジャーレモンマヨネーズ」を、別添えにしてもらいました。テーブルにはちょうどFlowerがぴったり安定して収まる穴があいていて、これは便利。
 
◆ 北海こがね
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フリットは2度揚げされているようで、どちらもしつこくなく軽やか。じゃがいもの味が活きています。
北海こがねは、適度にほくほくした舌触り。普段食べ慣れているじゃがいもの甘味が感じられ、日本人がフライドポテトをイメージした時に思い描く、食べやすい味だと感じました。10種類のどのディップでも美味しく頂けそうです。

◆ ドラゴンレッド
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こちらは、新じゃがのように瑞々しく歯応えがあります。甘味も少ないので、味が締まった個性的なディップと相性が良さそうです。

ディップはジンジャーマヨネーズもチーズも、それだけ食べるとぼんやりした味に思えてしまいますが、フリットと食べてこそ活きるちょうどいい風味でした。塩気もキツくないので、フリットではなくディップを食べてるんじゃ・・・なんて、トホホな結果にはなりません。
 
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Flowerの底には「リ・ポテト」という称されるハッシュドポテト風のひとつ。おまけ感が嬉しい。

さて、今回は「フリットを主役に」という物珍しさでやってきたわけですが、結論から言えば私の好きなタイプの味。カフェ風のスタイリッシュな店内にちょいと立ち寄り、フリットをつまむのもアリだと思います。が、はてさて、これは私たちの日常のひとコマとなり得るのでしょうか?

 「アンド・ザ・フリット」さんには、フィッシュフライやファラフェル、ポップコーンシュリンプといったサイドメニューもあるのですが、全部揚げものだけに、食事のシーンにはなりにくい。かと言って「放課後のおやつ」にはやや値が張る。やっぱり、さくっと1杯ひっかけるときのお伴みたいなスタンスがしっくりくるのかな?
 
例えば、明日25日に控えた昭和記念公園での花火大会のお共によく冷えたビールとフリット、あるいは、シネマシティで映画を観る前に軽く腹ごしらえ、なんてのが立川店ならではの楽しみ方かもしれません。

スポットをあてるポイントが間違っているかもしれませんが、私的イチオシはソーダ
フレッシュミントの風味が爽やかに喉を通り抜ける「ライムミントソーダも、まろやかな酸味とほのかに香るシナモンの芳香が心地良い「アップルシナモンビネガーソーダも、甘さ控えめであと口さっぱり。フリットにもぴったり。特に夏場はきりっとしたこの爽快感がたまりません。もし近所にこのお店あったら、これを飲むために毎日通いたくなるかも・・・。

じゃがいもって、家庭でもお馴染みだし、食糧難時の苦い思い出を持つ方以外嫌いという声もあまり聞きません。野菜にしては食べ応えがあるし、肉や魚はもちろんチーズや牛乳などの乳製品も、アンチョビやキムチなどの塩蔵や発酵食品ともすんなり肩を組めるオールラウンダー。先述の通り各国でも愛される、気さくで庶民的で付き合いやすいヤツだからこそ、一過性のブームで終わらず、じゃがいも好きな日本でも主役として定着してくれるといいなぁ。

ベルギーポテトは、もう1軒「ポムケ」さんが専門店として展開されていますが、こちらはベルギー料理や、ベルギービールと共に本場のポテトの味を紹介というスタンスのようで、これはこれでまた面白そう。近いうちに食べ比べをしてみたいです。

ごちそうさまでした。
2015年7月某日の旅先: 立川「アンド・ザ・フリット」さん

アンド ザ フリット 立川店コロッケ・フライ / 立川駅立川北駅立川南駅
昼総合点★★☆☆☆ 2.5