無芸大食・読書亡羊~美味しいものと本と旅~

美味しいものと本と旅が至福であり、生きがい。インスタ映えや星の数じゃなく、自分がいいと思えたものとの出会いを綴ってゆきたいです

神楽坂「かもめブックス」&「Weekenders Coffee All Right」~本好きも、そうでなくても~

出版社や本屋さんが多い街には、チェーン店ではない個人経営の喫茶店が多いように感じます。喫茶店の席を陣取っていそいそと買ったばかりの本を開く楽しみや、編集の打ち合わせ(想像)などの需要と無縁ではないように思うのですが、やたら居心地がよく、長居してもあまり厭な顔をされないことや、喫煙可の喫茶店が多いのも特徴です。神田、銀座、そして神楽坂もそんな街のひとつだと思います。

かつて坂下から坂上に向かう途中にあった「巴有吾有」さんが閉店してしまってからは、神楽坂でのお気に入りは「トンボロ」さんが筆頭格。苦みとコクが特徴のブレンドBを頂きながら、立派な一枚板のカウンターの一番右側、通りに面した窓のそばに座って過ごすのが好きです。その居心地の良さに浸りきって本に夢中になっていたら、店主の方から遠慮がちに閉店時間を告げられたことも。

このたび神楽坂にもうひとつお気に入りが加わりました。「Weekender's Coffee All RIight」さんは、「かもめブックス」さんの店内にあるカフェです。「かもめブックス」さんは、校正会社が閉店する書店を引き継いで、昨年末に生まれ変わった本屋さん。ずっと気になりつつもタイミングが合わず、この日やっと足を運べたのですが、本のセレクトも見せ方も、全てユニークでセンスが溢れていて、いっぺんでトリコになってしまいまいした。

入口のカフェエリアは、席数こそ少なめですが、手狭な印象はなく、早稲田通りに面したガラス張りの店内は明るくすっきりしていて、単にカフェとして利用する分にも入りやすい雰囲気です。

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コーヒー好きには店名からお察しの通り、京都の「Weekenders Coffee」さんのコーヒーが頂けます。ハンドドリップコーヒーはいくつか種類があるのですが、苦みが強く濃いめの希望を伝えたところブレンドを勧めて下さいました。丁寧に淹れられたコーヒーは、本のページをめくる時間にしっくりくる、豊かな香りと余韻の残る味わいの一杯でした。

せっかくなので同店名物の「プリントースト」もオーダー。ご近所「ACHO Kagurazaka」さんのマダガスカルバニラ香るプリンを、なんと贅沢にもトーストに塗ってしまうという暴挙にも似た頂き方ですが、水分が飛んださっくりトーストに濃厚なカスタードは意外にもマッチしていて、これがまたコーヒーにも良く合う一品。プリンだけでは舌に残る甘さがちょっと気になる私にはぴったりで、思わず帰りに「ACHO」さんに寄っていこうかと思ってしまったほど、なんだかハマってしまう食べ方なのでした。

スコーンクッキーなどのコーヒーのお供の他、アルコールもあるので、夜はビールを片手に読書も出来そうです。神楽坂駅の本当にすぐそばで、22時まで営業しているのも嬉しいですね。

コーヒーを頂いた後にも店内でゆっくり本選びを楽しみ、この日は2冊買い求めました。そのうちひとつは「シークレットブック」という特集棚にあったもので、タイトルも著者も伏せられて厳重にコーティングされた本を、帯に書かれた選書テーマと推薦コメントだけで選ぶというもの。本との出会いの妙を突いた「読んでみてのお楽しみ」というワクワクするセレクションです。帰宅して中を確かめてみると、ふだんの私ではなかなか手に取らない作品で、こんな偶然の出会いも演出してくれる素敵な本屋さんなのでした(本の感想は、後日ブログにて)。
 
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他にも「虫」「思い出」「月曜日に読む」など、テーマ毎に分かれた棚には思いがけない本が並んでいて、本好きの方はもちろん、本を読みたいけれど何を読んでいいか分からないという人にこそ、素敵な本と出会えるブックカフェだと思いました。私も、神楽坂に立ち寄る楽しみがまたひとつ増えました。
ごちそうさまでした。


オール ライトカフェ / 神楽坂駅牛込神楽坂駅江戸川橋駅
昼総合点★★★☆☆ 3.5

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