無芸大食・読書亡羊~美味しいものと本と旅~

美味しいものと本と旅が至福であり、生きがい。インスタ映えや星の数じゃなく、自分がいいと思えたものとの出会いを綴ってゆきたいです

バーバー / The Man Who Wasn't There~鑑賞後感~

※あくまでも個人的な感想です。一部作品のあらすじやテーマに触れている箇所がありますので、
まだこの映画をご覧になっていない方は、以下記述に目を通される際にはどうぞご留意ください。
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2001年のコーエン兄弟作品。カラー用のフィルムをモノクロ変換した映画ゆえ、もとのカラー版も存在するそうですが、私は劇場公開時と同じモノクロ版で視聴しました。

主役の無口なバーバー、エドことビリー・ボブ・ソーントンが理容ばさみを片手に
煙草をくゆらすときの紫煙、あの極太眉毛と魅力的なシワは、モノクロ画面のほうがいっそうシビれます!(余計なお世話ですが、今もってアンジェリーナ・ジョリーの横には、この人の方が似合っている気が。ブラッド・ピットとじゃキラキラし過ぎていてなんだか・・・。)
 
その他キャストもコーエン作品の常連が多いですが、とにかく面構えの良さが魅力的。ひとくせもふたくせもある彼らがその個性全開で演じているのだから、面白くないわけがなく、時折見せる小芝居やシュールな場面も絶品。スタッフ含めみんなでわいわい面白がって作りあげたんだろうなぁ、と思いました。

スカーレット・ヨハンソンは、成人した今もいいけれど、本作ぐらいの年頃、「ゴースト・ワールド」や「ママの遺したラブソング」など
に出演していた頃が、少女と大人の狭間のあやうい佇まいがあって、何とも言えない得難い魅力だったなぁと、同性ながらほれぼれと見惚れます。

ふとしたことから悲劇にまきこまれていくストーリーにも面白くも悲哀が漂い、中盤からラストにかけて、ベートーベンの「悲愴」の調べと共に、原題の「The Man Wasn't There」という言葉が胸にしみます。