無芸大食・読書亡羊~美味しいものと本と旅~

美味しいものと本と旅が至福であり、生きがい。インスタ映えや星の数じゃなく、自分がいいと思えたものとの出会いを綴ってゆきたいです

銀座「三徳堂」~名残惜しきは烈日の日々~

「三徳堂」さんに伺ったのはまだ暑い盛りの先週のことでしたが、やれビールだ氷だ素麺だと、暑さ凌ぎにあれほどひやっこいものばかりを欲していたのに、ここ数日の雨模様で気温が下がった途端、それらが急に色褪せて見えるのですから、人の身体とは本当に正直なものです。夏の風物詩かき氷の口福が、舌の記憶から消えてしまわないうちに書き留めておきたいと思います。

銀座「三徳堂」さんに初めて伺ったのは、一昨年前の夏「よし田」さんでお蕎麦を頂いた後のこと。はす向かいにあるプーアール茶専門店「三徳堂」さんの2階ティールームでかき氷が頂けることを偶然知って、入ってみたのがきっかけです。「雪ノ下」さんが出店される以前の銀座には、甘味処以外にかき氷を提供する店があまりなかったので、これは嬉しい出会いでした。

お店の場所も私にとっては好立地で、シネスイッチでの鑑賞後、入る店が限られてしまう中途半端な時間に差し掛かってしまった時には、晴海通りを超えて7丁目方面に直進し、通し営業の「よし田」さんののち「三徳堂」さんというコースで結構お世話になっています。(現在「よし田」さんは休業中のようです)

◆  豆豆氷(ドードーピン)
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この日も、お気に入りの豆豆氷(ドードーピン)を頂きました。
ここ数年で劇的な進化を遂げているかき氷は今や百花繚乱・よりどりみどりですが、「三徳堂」さんのかき氷の特徴は、台湾式らしい甘さ控えめでヘルシーなところでしょうか。シロップや練乳自体もさっぱりした甘さではありますが、トッピングされた8~9種類の豆のホクホク感で、きーんとした氷の冷たさが和らぐ気がします。豆自体の大きさや歯触りも異なるので、最後まで飽きずに食べられるのも嬉しいところ。

◆ 黒蜜と生姜シロップのかき氷
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同席者は、黒蜜と生姜シロップのかき氷をオーダー。生姜の辛みと黒蜜のコクのある甘さが特徴で、後口がきりっとした印象です。どちらのかき氷も、氷を食べていながらも身体を冷やしすぎていない気がするのは、豆や生姜の効用でしょうか。夏疲れによる消化不良や代謝低下ぎみのこの時期には、こんなタイプのかき氷がしっくりくる気がします。もちろん、台湾かき氷と言えばのマンゴーや、愛玉子ゼリーとキウイなどの清涼感溢れるかき氷メニューも揃っています。

「三徳堂」さんの台湾デザートは、夏季以外も魅力的です。おなじみ「豆花」や、もち粉を使った3色だんごを生姜をきかせた温かい黒蜜スープでいただく「生姜黒蜜もちだんご」胡麻あん入り団子の「芝麻湯圓(ごまタンエン)」…ちょっと肌寒い今日なんぞは、そんな冬のお楽しみにまで思いを馳せてしまう私です。

ムシムシギラギラとした毎日にうんざりしていたはずなのに、今週に入ってからは、夏を名残惜しむかのようにさざめくセミの声や、「かき氷」ののぼり旗がはためく様子に急にうら寂しさを覚え、なんだか忘れ物をしてしまったような心もちになっています。夏もそろそろ終わりが近づいているのですね。
ごちそうさまでした。

2015年8月某日の旅先: 銀座「三徳堂」さん 

三徳堂中国茶専門店 / 銀座駅東銀座駅新橋駅
昼総合点★★★☆☆ 3.5