無芸大食・読書亡羊~美味しいものと本と旅~

美味しいものと本と旅が至福であり、生きがい。インスタ映えや星の数じゃなく、自分がいいと思えたものとの出会いを綴ってゆきたいです

青空冴えわたる万緑の弘前公園

私の旅行で欠かせない三大要素、それは「食事」「美術館や博物館」そして「建築物&庭園・公園」です。枯山水や苔庭のような庭園様式が大好きで、自然と始まった庭園巡りの習慣ですが、城址公園などその街を代表するスケールの大きな公園の豊かな自然や歴史を感じる造りにも惹かれるようになり、旅先では必ずスケジュールに組み込みます。

弘前といえば、云わずと知れた弘前公園。春の盛りは淡いピンク色の桜の木々に囲まれた弘前城の風景でお馴染みですが、市内のタクシーの運転手さんが誇らしげに語るのも当然至極の、弘前のシンボルであり、日本が誇る桜の名所のひとつです。

時刻は朝7時半。入場料不要で時間制限のない公園は、混み合う前に早起きして散策するに限ります。
お城のお膝元であり、街の中心地に位置する弘前公園は、弘前工高や公共施設とも隣接しており、恐らく弘前工高の生徒さんの通学路なのでしょう、自転車ですれ違う際に「おはようございます!」と元気な挨拶をかけられ、早朝の爽やかな気分がいちだんと清々しいものになりました。
地元の方の散歩コースとしても愛されているようで、弾む足取りで歩く犬を連れた方も多く見かけました。広々と見晴らしのいいお濠沿いも素敵です。
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もちろん桜は開花していませんでしたが、樹齢100年以上という日本一太いソメイヨシノの堂々たる雄姿を始め、約50種、2600本といわれる桜の木々は圧巻です。これらが一斉に桜色に染まる様子を想像するだけでも、美しく幻想的な風景が目に浮かびますが、青々とした緑に覆われたこの風景もまた見事です。
天守の曳屋工事に伴い本丸植栽の移植作業が始まっていて、公園の木々の全貌を観ることは出来ませんでしたが、十分な見応えがありました。
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本丸の展望台からは、青森県の最高峰岩木山を望むことが出来ます。緑のじゅうたんのような蓮の葉に覆われた蓮池を手前に、晴れ晴れとした気持ちになる素晴らしい眺めです。
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私が訪れた際には天守は曳屋工事に入っていましたので、弘前観光のポスター等で必ず見かける下乗橋から望む弘前城は見られませんでした。この写真は前の年に訪れた家人が撮ったものです。
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3層3階の天守は江戸時代の建築で、現存するものでは日本最北、東北唯一の国の重要文化財です。
天守としては決して大きくはありませんが、フォルムが美しくシュッと凛々しいお姿で、青空と万緑に映えるモノトーンが印象的でした。

こんなにも木々が豊かなので、春だけでなく秋もきっと素晴らしい眺めなのでしょう。
全ての工事が完了した頃に、改めてまた訪れたい名所でした。

2015年7月某日の旅先 : 青森県弘前市「弘前公園」