無芸大食・読書亡羊~美味しいものと本と旅~

美味しいものと本と旅が至福であり、生きがい。インスタ映えや星の数じゃなく、自分がいいと思えたものとの出会いを綴ってゆきたいです

新橋「一味玲玲」~餃子もいろいろありまして~

以前、「餃子倶楽部」なるものを作って、地味に活動をしていました。
単に餃子好きが集まってあちこち食べ歩くだけというものですが、浜松や宇都宮の餃子どころ(?)始め、金沢の「ホワイト餃子」さん博多の「祇園鉄なべ」さんなどへのプチ遠征も実施するなど、それなりに趣向を凝らした大人ならではのクラブ活動でした。

阿佐ヶ谷「豚八戒」さん新宿「東順永」さん神保町「スヰートポーヅ」さん「亀戸餃子」さん幡ヶ谷「您好」さん吉祥寺「みんみん」さなど、私にとってのお気に入りの餃子店を見つけられた喜びにも活動意義がありましたが、皮も餡もお店ごとのはっきりした特徴があり、2~3軒ハシゴしてもちっとも飽きない個性を有する餃子の奥深さを垣間見たことも、大きな収穫でした(大袈裟・・・)。諸事情あり活動は休止したものの、一目覚めた餃子好きは時折顔を出して私を誘惑します。

今回も、猛烈に餃子が食べたくなったある日に、色々なところで話題になっている新橋「一味玲玲」さんに行ってみよう!と思い立ち、早速本店に予約を入れました。人気店のようですが、早い時間なら時間制限付きではあるものの、難なく入店できるようです。
 
こちらは10種を超えるバラエティ豊かな餡の種類と、それぞれ蒸・焼・水の調理法を選んでオーダー出来る点が特徴で、海老や椎茸、セロリやパクチーなどの個性溢れる餃子を楽しみに伺いました。

新橋烏森口らしさ溢れる雑多な通りの、急な階段を上がった2階のお店。こじんまりとした広さながら、店員さんの中国語が飛び交う活気あふれる店内で、窓の外からもおなじみの新橋の夜の喧騒が伝わってきます。この日はちょうどオーナーの方がいらしていて、あれこれと親切に説明して下さいました。
 
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まずはビールと、海老(蒸し)と、パクチー豆豉、ラムパクチー、白菜、紫蘇(焼き)をとりあえず。餃子以外のメニューも豊富でしたが、この日は餃子だけに専念したかったので割愛しました。

◆ お通し(ピーナッツ、押し豆腐) 
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◆ 海老餃子(蒸し)
お通しをつまみながら待つことしばし、蒸篭の湯気と共に海老餃子が登場。つやつやの皮を破ると、滴るような肉汁と共に、ぷりぷりの海老が入った餡が顔を覗かせます。

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オーナーさんの「味がついています」の言葉通り、餡にはっきりと塩気が感じられ、干し海老も入っているので旨味もしっかり。酢胡椒のタレや、ニンニク醤油のタレがお勧めだそうですが、これはむしろ何もつけない方が海老の美味しさが感じられるように思います。

パクチー豆豉、ラムパクチー、白菜、紫蘇(焼き) 
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焼き餃子は一皿に4種が勢揃い!黄金色のダイナミックな羽根は「トウモロコシ粉を使用している」そうで、コーンチップのように冷めてもサクサクでした。店内の貼り紙によると、肉餡は富士高原の美豚なる豚肉を使っているとのことで、この肉汁の量がとにかくハンパなく、皮を破らずに小龍包のように一口で受け止めるのがコツだと合点しました。
 
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ラムパクチー
は、羊肉と香菜のどちらの個性も際立った堂々たる味わい。パクチー豆豉は青唐辛子入りでなかなかの辛さ。豆豉のまろみのあるコクは餃子餡に合う!という発見がありました。爽やかな香りの紫蘇は肉餡の脂を中和して、焼き4種類の中で一番さっぱりと頂けました。

一巡目を頂いてから追加でトマトやレモン、椎茸などを頼もうと目論んでいたのですが、この焼き餃子4種の焼き油と、肉餡の脂の両方のパンチが思いのほか大きく、ひとまず他店ではあまり見かけないレモン餃子の蒸しだけをお願いして様子を見ることにしました。

◆ レモン餃子(蒸し)
レモンピールのみじん切りが入っている餡は、レモンの清涼感とほのかな皮の苦みが効いた独特の風味がオツで、想像以上の好相性。しかし、このレモン餃子が来るまでに大分時間がかかって満腹になってしまったため、惜しくもこれにて打ち止め。オーナーさんが出ていかれてからの店員さんが自由奔放過ぎで、どうやらお喋りに夢中になってオーダーがきちんと通っていなかった様子でした。

6種類頂いただけの感想なので早計かもしれませんが、いかんせんベースが同じなのでどうしても途中で食べ飽きてしまうのと、特に焼き餃子が私には少々油っぽく感じられ、翌日まで胃がもたれる羽目に。餡にパンチがある分、焼きよりも蒸しと水の割合を多めにした方が良かったのかもしれません。
 
色々な味を楽しむためには、大勢で行って少しずつ頂くこと、そして野菜ベースのさっぱりしたものから始めて、順に個性のあるものへと移行したり、やはり他のお料理を間に組み込んだりと工夫することが、飽きずに味わえるコツかもしれないと思いました。

前述のように餃子も様々なタイプがあり、改めて思い至るに、私は弾力と粉の甘みを感じられる皮が美味しい餃子や、しっとりジューシーよりも、カリッと香ばしく焼かれた軽やかなタイプが好みのようです。
「一味玲玲」さんの餃子は私には少し重めでしたが、どの餃子にも組み合わせの妙味があり、新鮮な驚きをもたらしてくれるそのアイディアには感服です。パクチー豆豉や、レモン餃子などは、家で作る餃子にも取り入れてみたいと思います。

お陰さまで餃子熱に火がついたので、また久しぶりにあちこち食べ歩いてみたいとも思いました。
ごちそうさまでした。

2015年8月某日の旅先: 新橋「一味玲玲」さん 

一味玲玲 新橋本店中華料理 / 新橋駅汐留駅内幸町駅
夜総合点★★☆☆☆ 2.5