無芸大食・読書亡羊~美味しいものと本と旅~

美味しいものと本と旅が至福であり、生きがい。インスタ映えや星の数じゃなく、自分がいいと思えたものとの出会いを綴ってゆきたいです

神楽坂「亀井堂」~「いつもの」だけじゃだめなんだ~

我が家には「●●方面に出向いたら、××を買って帰る」という、その街ごとの定番土産が何とはなしに存在します。ニューオープンした店の目新しい商品があればそれを買うこともあるけれど、めぼしい出会いがなくても、暗黙のルールに従って買ったお土産ならばいつでもウェルカム&ハッピーというわけです。

その中でも神楽坂は手土産の宝庫で、「五十番」さんの肉まん、「大野屋」さんビーフメンチといった惣菜系から、「ル・ブルターニュ」さんのガレットやキャラメル、「ル・コワンヴェール」さんのギモーブ、「アルパージュ」さんのチーズなど神楽坂らしいフランスの香り漂う品々、「ベッカー」さんのドイツパン、日光「金谷ホテルベーカリー」さんの直営店とパンにも事欠かない、食べ歩くにも手土産を買うにも便利な、とても魅力的な街です。

この日は炎天下の神楽坂駅側におり、「アトリエ・コータ」さんの絶品タルトシトロンと迷ったものの、暑い中坂を下って行く僅かな手間も面倒になり、「亀井堂」さんに軍配が上がりました。まだ午前中のうちで、午後には売り切れてしまうクリームパンを買うには最適なタイミングだったことも決め手になりました。
 
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「亀井堂」さんは昔ながらの気取りのない町のパン屋さんですが、看板商品クリームパンは一人5個までの購入数制限が設けられているほどの人気ぶり。愛らしいグローブ型には持ち重りがするほどカスタードクリームがたっぷりなため、トングで掴むのではなくケーキサーバーですくってトレイに載せて買うのですが、人気の理由は大きさだけではなく、もちろん美味しさあってのことです。
 
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香ばしい焼き色が見事な表面を割ると、たまご色のカスタードクリームがぎっしり。
シュークリーム用のカスタードを使って作られているのだそうですが、卵のまろやかさ際立つリッチな食感とは裏腹に、甘さが控えめでしつこくないので、ぺろりといけてしまいます。割った時に香る小麦粉の香りもまた格別。
 
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午前中に伺ったのは初めてだったので、普段は見たことのない商品にも出会えました。
たっぷりの胡麻と濃い焼き目が美味しそうで思わず手に取ってしまったのが、ごぼうのおやき。この出会いが思わぬスマッシュヒットで、ぎっしり詰まったきんぴらごぼう鄙びた味わいと表面の焼き目の香ばしさ、パン生地の甘味が引き立てるきんぴらごぼうの甘辛さが絶妙でした。新たな定番を見つけた思いに、この日は買って帰った私も、それを食べた家人も幸せ倍増でした。
 
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よくよく考えてみると、これまで「亀井堂」さんには自分が行くよりも家人に買ってきて貰う機会が多く、私自身クリームパン以外のラインナップをきちんと把握していなかったんだなぁと、しばし反省。「いつもの」お気に入りだけを頂いて「亀井堂」さんの味を知った気になっていましたが、その後、生姜焼きバーガーなる隠れた名物もあることも知り、若輩者の我が身を思い知りました・・・。

「亀井堂」さんには、まだまだ知られざる逸品があるに違いありません。そして、我が家の神楽坂の定番土産リストも、増加の一途をたどることになりそうです。ごちそうさまでした。

2015年8月某日の旅先: 神楽坂「亀井堂」さん

亀井堂パン / 神楽坂駅牛込神楽坂駅江戸川橋駅
昼総合点★★★☆☆ 3.5