無芸大食・読書亡羊~美味しいものと本と旅~

美味しいものと本と旅が至福であり、生きがい。インスタ映えや星の数じゃなく、自分がいいと思えたものとの出会いを綴ってゆきたいです

読まされ図書室(小林聡美)~読後所感~

※あくまでも個人的な感想です。一部作品のあらすじやテーマに触れている箇所がありますので、
まだこの本を読まれていない方は、以下記述に目を通される際にはどうぞご留意ください。

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読まされ図書室
小林 聡美
宝島社
2014-12-06


女優小林聡美さんが、自発的にではなく人からお勧めされて「読まされ」た本について綴ったエッセイ。
 
本の印象は読者の視点によって全く異なるから、誰かが綴った読後感は書評とはまた違って、とても興味深いもの。それが聡美さんの、ちょっととぼけた文体で語られるのがまた楽しくて、声をあげて笑ってしまう箇所もありました。「汗と涙の記録でもある」とあるように、ご自身の「凝り固まった」好みとは別に、聡美さんがなぜにこれを私に?と思うような変化球や難球の推薦本もあって、ある時は朗読しながら、ある時はメモを取りながらと、奮闘しながら抜群のセンスで読み解く様子がまた、聡美さんらしくて可愛い。

推薦人は例えば、井上陽水皆川明よしもとばなな長塚圭史酒井順子群ようこ各氏他多数と、豪華且つバラエティに富んだ顔ぶれと、そのセレクトも見所です。中盤に挟まれた、よしもとばななさんとの対談の場が、おそらく「ブンダンカフェ」さんらしいのも個人的にテンションアップ。

図書館の貸し出しカードを模した装丁や、さかざきちはる(今はひらがな表記にされているのですね)さんのイラストも素敵な一冊です。