吉祥寺「アルトゴット ALLT GOTT」～祖母に捧げたかった味～
映画「キッチン・ストーリー」で主人公の食事をするシーンを観ていたら北欧料理が食べたくてたまらなくなり、吉祥寺にある「アルトゴット」さんに予約を入れました。
久しぶりの訪問でしたが、店内の照明が以前よりもちょっと明るくなったかな？「アルトゴット」さんは清潔で端正な佇まいのきちんとしたレストランで、客層も少し年齢層が高めだからか、落ち着いた雰囲気の中で食事が楽しめるお店です。それでいて敷居は高くなく、近隣の方々が普段着で寛いでいるような、肩の凝らないコージーな雰囲気も魅力のひとつです。
久しぶりの訪問でしたが、店内の照明が以前よりもちょっと明るくなったかな？「アルトゴット」さんは清潔で端正な佇まいのきちんとしたレストランで、客層も少し年齢層が高めだからか、落ち着いた雰囲気の中で食事が楽しめるお店です。それでいて敷居は高くなく、近隣の方々が普段着で寛いでいるような、肩の凝らないコージーな雰囲気も魅力のひとつです。
私はいつもコース料理ではなくアラカルトをお願いするのですが、味つけの強弱を鑑みて、サーブするお料理の順番をマダムがきちんと組み立てて下さるので安心です。
◆前菜盛り合わせ
左上「ノルウェー産にしんのマリネ」は、まさにこれが食べたくて伺ったようなもの。しっかり酢漬けにされたニシンの酸味とディル入りの甘いマスタードソースの風味に、北欧風気分が一気にアガります。その下は、ねっとりとした旨味が舌に溶ける肉厚の「ノルウェー産スモークサーモン」。中央下が、脂が乗った「新サンマのマリネ」、右隣はきのこの旨味と玉葱の優しい甘味がぎゅっと詰まった「きのこと玉葱入りのテリーヌ」です。右上は頭から尻尾まで美味しい「スカンジナビア産ボイル甘海老」、そして上中央がプティシューに包まれた「アボカドの北欧サラダ」と、バラエティに富んだ北欧らしい6種の前菜が一堂に会し、ラノヴィアのグラスは瞬く間に空になりました。
◆自家製パンとクネッケ
「アルトゴット」さんの自家製パンは、北欧らしいアニス入りのライ麦パン。ほのかな甘味と麦の素朴な風味がやみつきになる美味しさで、クネッケと共に追加は必至。このお店の隠れた逸品だと思っています。
◆キャベツのサラダ・自家製アンチョビドレッシング
ロメインレタスのブルーチーズドレッシングと迷いましたが、この日はキャベツサラダにしてみました。
アンチョビの風味をしっかりまとっていながらも、シャクシャクとした歯触りと生のキャベツならではの甘味が生きていて、なんでもないようでいて印象に残る一皿。口直しにぴったりの爽快な味わいでした。
アンチョビの風味をしっかりまとっていながらも、シャクシャクとした歯触りと生のキャベツならではの甘味が生きていて、なんでもないようでいて印象に残る一皿。口直しにぴったりの爽快な味わいでした。
◆仔鹿肉のロースト・リンゴンベリーソース
スウェーデン風ミートボールも、トナカイ肉も、貝のコキーユやサーモンのグリルも捨てがたいけれど、絶対に外せない私的鉄板メニューは仔鹿肉のロースト。「すこやか」という形容詞が思い浮かぶ仔鹿肉は、柔らかいけれどしっかりと噛み締める美味しさもあり、口の中いっぱいに肉の旨味がひろがります。通常はお料理に甘い味が入るのは苦手なのですが、リンゴンベリーは別格。この独特の甘酸っぱいソースがなくては画竜点睛を欠くというものです。あぁ、今思い出してもまた食べたい…。
◆北欧風仔牛のカツレツ ブルーチーズ詰め
サクっときつね色のきめ細やかなパン粉衣を割ると、中からブルーチーズがとろりと顔を覗かせます。ミルフィーユ状に重ねられた肉の間から染み出た肉汁とキノコのソースも相まって、旨味が二重にも三重にも広がります。付け合わせの「ヤンソンフレステルセ」は「ヤンソンさんの誘惑」と呼ばれることもあるじゃがいもとアンチョビのグラタン。大好きなあまり頻繁に作ってばかりいたら体重が一気に増加した経緯から、今では家で作ることを自分に禁じている好物です。単品メニューにもあるこのお料理、ぐっとオーダーを我慢していただけに、付け合わせに出てきた時には歓喜しました。
◆くるみのガトーショコラ、グロッグオレンジのタルト
デザートには、抑えた甘さとくるみの香ばしさがコーヒーに良く合うガトーショコラと、北欧の定番・スパイス入りワインのグロッグに漬けたオレンジをのせた、甘酸っぱいタルトを頂きました。
「アルトゴット」さんの前身は井の頭公園側にあった「ガムラスタン」というお店で、母方の祖母が、社会人になった私のお祝いにと連れて来てくれたのが最初の出会いでした。当時珍しかった北欧料理ですが、その時の印象は「塩辛い料理」というもので、なるほどこういう塩気の強い料理とアクアビットのような強い酒で寒さを凌ぐのかと思ったものです。その後「ガムラスタン」さんの移転を機に、今のシェフが始められたお店が「アルトゴット」さん。北欧らしさはそのままに、塩辛さはなくむしろ繊細で豊かな味わいのお料理に魅了され、以来すっかりファンになりました。
「アルトゴット」さんになってから時折祖母とお店の話になり、次は私が祖母をこのお店に連れてこようと思っていたのですが、実現出来ぬまま祖母は他界してしまいました。晩年もコーラが大好きで、洋食や新しい味に抵抗がなかった祖母だけに、連れて行ったらきっと喜んでくれたことでしょうに。このお店では、ご家族（学齢児童を含まない）で利用される方々の姿を多く見かけるのですが、私ぐらいの世代の親子3代らしきご家族が食事をされているのを見て、大変羨ましい気持ちになりました。
「アルトゴット」さんになってから時折祖母とお店の話になり、次は私が祖母をこのお店に連れてこようと思っていたのですが、実現出来ぬまま祖母は他界してしまいました。晩年もコーラが大好きで、洋食や新しい味に抵抗がなかった祖母だけに、連れて行ったらきっと喜んでくれたことでしょうに。このお店では、ご家族（学齢児童を含まない）で利用される方々の姿を多く見かけるのですが、私ぐらいの世代の親子3代らしきご家族が食事をされているのを見て、大変羨ましい気持ちになりました。
ごちそうさまでした。
2015年9月某日の旅先： 吉祥寺「アルトゴット ALLT GOTT」さん
