無芸大食・読書亡羊~美味しいものと本と旅~

美味しいものと本と旅が至福であり、生きがい。インスタ映えや星の数じゃなく、自分がいいと思えたものとの出会いを綴ってゆきたいです

高田馬場「バインミー☆サンドイッチ」~今月も、あの衝動がやってきた~

吉田修一さんの本「太陽は動かない」の冒頭で、ホーチミンバインミーを買うシーンを読んだら、もう条件反射のように唾が湧きました。どうも私は、バインミー食べたい!衝動が周期的に巡ってくるらしく、前回は「えだおね」さんのバインミーで欲求を満たしましたが、今回は、吉田さんの作品世界にどっぷり浸かっていたこともあり、より本場の味に近い「バインミー☆サンドイッチ」さんに突撃です。
「バインミー☆サンドイッチ」さんには、高田馬場(まだ西早稲田駅はなかった)で、かの「夢民」さんが営業していた頃から通っていますが、今回は約一年ぶりの訪問です。なんだかお店の外観がキレイになっている!そして11時開店前にも関わらず、私の前には5人のお客さんが。相変わらず人気なんだなぁ。(余談ですが、「夢民」さんはお台場夢大陸で限定復活してましたね!新聞記事で知った母が電話をしてきたほど、我が家ではホットなニュースでした・笑。行きたかった…)

待っている間に母からメールがあり、新宿で映画を観た帰りに我が家に寄るというので、母の分も買って帰ることにしました。よし!これで、もうひとつばかり余計に買ってもシェアできる!しめしめ…。

出来たてを頂くのが一番なのですが、イートインスペースのないこのお店、表のベンチで食べるのはちと味気ないので、番号札と交換で商品を受け取ったら即行帰宅。幸いなことに、お店のある路地から出てすぐが地下鉄東西線の入口なので、20分後には自宅で、コーヒーと共にバインミーのお昼にありつけました。

この日はまもなく10月だというのに、やや湿気も強く汗ばむ陽気。ホーチミンには程遠いけれど、こうなったら吉田さんの作品世界にむりやり寄せるべく、ベランダに出て気分を盛り上げることにいたしましょう♪

パクチラバーゆえ+100円でパクチー増しです。まずは、パンの小麦の甘い香り、なますの甘酸っぱい香りと、むせ返るようなパクチーの青々とした香りを深々と吸い込み、しばし陶然。ひと口頂いて、やっぱりやっぱりやっぱり、求めていた味はこれだ!と感じました。
 
IMG_3076

「バインミー☆サンドイッチ」さんが作るバインミーの、本場らしい美味しさのキモは、このパンではないでしょうか。クープが広がった外側はパリっと香ばしく、けれどフランスパンのように噛みきれないほどクリスピーではありません。一方、たっぷりの具を受け止める懐の深い内側はコッペパンさながらですが、適度なドライ感があって、しっとり甘いコッペパンとはやはり別物。「ベトナムパン」とも言うべきこの独特のパンの食感こそが、本場らしいバインミーたるゆえんではないかと思うのです。
 
そしてもうひとつ、レバーペーストだけではなく、ベトナムハムが挟んであるのもポイント。ゼラチン質や脂部分もしっかりあって煮こごりのようなのに、なぜかさっぱり食べられる不思議なハムですが、レバーパテと一緒に挟んであるともう…最強のコンビ!ちょっと甘めでコリコリの食感のなますも、口の中で暴力的な香りをまき散らすパクチーも、ぜーんぶクセ者揃いなのですが、それが渾然一体となって生まれる、バインミーの美味しさ。毎回思うけれど、この組み合わせを最初に思いついた人は、ホント、天才です。

◆もち豚ロース五香粉焼き (9月のマンスリーバインミー
1本で十分な食べ応えがあるので、本当は2本目には手を出すべきではないのですが、母の来訪によりシェア出来る!と迷わず購入。なぜって、五香粉は常備しているほど好きなスパイスなのです。

IMG_3077

もち豚そのものは柔らかい噛み応えですが、一切れがそれはそれは分厚く、ステーキサンドさながらの豪華さ。母と半分ずつのシェアでなければ食べきれないほどのボリュームでした。五香粉自体はアクセント程度でさほど主張は強くはないけれど、肉を噛み締めるとにじむもち豚の脂に、八角やシナモンなどの独特の風味が絡み、アジアの香りを呼びます。なますやパクチーとの相性も抜群です。この味は今月限りとのことですが、食べることが出来て良かった!

予定外で思わぬ美味にありつけた母も大満足。彼女にとっても何年ぶりかで口にした「バインミー☆サンドイッチ」さんバインミーでしたが、こんなに美味しかったっけ?と、ひたすらがっついておりました。

それにしても、食べたいタイミングと食べたいモノがぴったり合うというのは、なんと幸せで有り難いことでしょう。近場にこのお店があることに、ただただ感謝です。
ごちそうさまでした。

バインミー☆サンドイッチサンドイッチ / 高田馬場駅下落合駅西早稲田駅
昼総合点★★★★ 4.0

バインミー関連記事
荻窪「えだおね」さん