無芸大食・読書亡羊~美味しいものと本と旅~

美味しいものと本と旅が至福であり、生きがい。インスタ映えや星の数じゃなく、自分がいいと思えたものとの出会いを綴ってゆきたいです

乃木坂「ウエスト青山ガーデン」~空間と時間を楽しみにゆく~

木村衣有子さんの「銀座ウエストのひみつ」という本を読みました。美意識高いお店の企業哲学にいたく感じ入った感想は別項でレビューするとして、すっかりお店の雰囲気が恋しくなってしまい、「ウエスト青山ガーデン」さんに伺いました。
 
疲れていて強烈に甘いものを欲していた日だったので、選んだのはスフレでも、ホットケーキでも、ゴルゴンゾーラパフでもなく、フォンダンショコラ。同席者はマロンをオーダー。しっかりした甘さとコクが脳に浸透していきます・・・。
 
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正直に言うと、「ウエスト青山ガーデン」さんの生ケーキやコーヒーの味自体は、それほど私をトリコにするものではありません。美味しいことには違いないのですが、昔ながらの馴染み深さという点で、「美味しい!」と叫ぶよりも、ほっとする味とでもいいましょうか。一番好きなのは、繊細な食感のリーフパイ始め、バターやアーモンド香る、真っ直ぐな美味しさが魅力のドライケーキたちです。

しかし、喫茶室(あえて喫茶室といいたい)としての佇まいにおいては、「ウエスト銀座本店」さんも、「ウエスト青山ガーデン」さんも、その品の良さと誠実さで抜きん出ていて、私はこの居心地の良い空間に浸るひとときを求めて、ここを訪れると言って良いかもしれません。

きちんと磨かれたカトラリーや、控えめに華を添えている生花、折り目正しいウエイトレスの所作など、どこを切り取っても端正な様相は、緊張感を強いるどころか、自然となごんでしまう安心感を生んでいると思うのですが、そんな空気をまとう喫茶室は、ありそうでないと思うのです。
 
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一方で、適度な距離をあけて配されたテーブルや、外光が入る広々とした店内、格子窓から臨むグリーンなど、「ウエスト青山ガーデン」さんの開放的なこの雰囲気は、銀座本店さんの端正でクラシカルな趣とはまた違った、比べがたい魅力があります。銀座本店さんと比べると訪問頻度は低いですが、国立新美術館を訪れた後は、こちらで一休みするのが定番です。

テラス席にいるご婦人方の隣で、ちんまりと大人しく座っているチワワたちを愛でながら、しばしこの空間に身を委ねていると、たちまちどんよりした疲れが消えてゆきました。
どことなく豊かな気持ちになったところで、おいとまします。ごちそうさまでした。
 
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ウエスト青山ガーデンカフェ / 乃木坂駅青山一丁目駅外苑前駅
昼総合点★★★☆☆ 3.5