無芸大食・読書亡羊~美味しいものと本と旅~

美味しいものと本と旅が至福であり、生きがい。インスタ映えや星の数じゃなく、自分がいいと思えたものとの出会いを綴ってゆきたいです

富岩水上ラインと中島閘門、岩瀬~水のエレベーターを体験!~

富山旅行2日目のハイライトは、富岩運河環水公園から富山運河を通り、富山港のある港町・岩瀬までをクルーズする富岩水上ラインです。富山運河は、神通川と並行して流れており、富山駅北側から富山港を結ぶ、全長約5.1kmの運河です。
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富岩運河環水公園のスタバで待機していた私たちは、乗船場へと移動しました。乗船場の近くには、フレンチの鉄人・坂井シェフ監修の「キィジーヌ・フランセーズ ラ・シャンス」さんがあります。なぜこんな場所に…と思ったのは早計で、運河に迫り出した窓側席の近くに立ってみると、視界を遮るものなく、天門橋富岩運河環水公園、そして運河の風景を愉しむことが出来る位置でした。

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昼の眺めも良いのですが、とりわけ夜は、ライトアップの美しさを堪能できることでしょう。次回は富岩運河環水公園の夜景を見に来たい、と前述しましたが、こちらのディナーを頂きながら眺めるのも一興かもしれません。

私たちが乗ったクルーズ船「sora」は、10時10分に富岩運河環水公園を出発。あいにくの曇天で、かろうじて雨の気配はないものの、水上を走るので風が少し冷たく感じます。
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木場橋、大島橋、永代橋といくつもの橋をくぐって、20分ほどすると見えてくるのが、パナマ運河式の中島閘門(こうもん)です。ここは、富岩水上クルーズ最大の見どころ。富山運河の上流と下流の、2.5mもの水位差を調節する装置、いわば”水上エレベーター”を体感することが出来るのです。
 
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船は、標高2.7mの上流側から閘門内に入り、しばし滞留している間に上流側の門扉が閉まり、水位がどんどん下がってゆきます。下流側の門扉が開くまでには、船はちょうど標高0.2mの下流の水位と同じ高さに浮かんでいる、というしくみです。なるほど、両側の岸壁を見ていると、見る見る間に水位線が下へと下がってゆきます。面白い!

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日本各地で今も多くの閘門が稼働しているそうですが、重要文化財や産業遺産に指定されているものも多く、この中島閘門は、通過できる国の指定重要文化財の中で、水位差が国内最大級なのだそうです。船のガイドさんによると、皇太子殿下もこの富岩水上クルーズに乗船され、中島閘門の操作室で実際に操作体験なさったとか。
 
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船は中島閘門を抜け、ひたすら運河に沿って北上。のどかな住宅地から一転、工場地帯が多くなり、風が潮の香りを運んできます。まもなく、富山湾と、富山港に停泊しているタンカーが見えてきました。

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到着地は、かつて北前船の寄港地だった港町・岩瀬です。きっかり1時間の富岩水上クルーズ、かなりの見応えでした。富山が薬都として栄えることになった経緯や、神通川と富岩運河の歴史、富山市と岩瀬の観光案内など、添乗ガイドさんの説明も微に入り細に渡って面白く、いっぱしの富山ツウ気取りで下船しました。

岩瀬では、北前船時代に灯台の役目を果たした富山港展望台を見学。高さ20mの展望台までの階段はややキツいですが、視界が360℃開けていて、富山湾と岩瀬の町並みを見渡すことが出来ます。天気が悪かったので、残念ながら立山連峰は見えませんでしたが、能登半島のシルエットが確認できました。

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江戸時代から北前船で財をなした廻船問屋が立ち並ぶ岩瀬の街並みは、当時の面影を残すため、地元の方々が地道な努力を積まれているとか。北陸銀行も、こんな具合に味のある外観です。
 
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岩瀬の観光ガイドで必ず紹介される老舗料亭「松月」さん。創業100余年で、黒瓦と土壁の風格ある建物は、当時のままだそうです。名物は、岩瀬港で朝揚がったものを一匹ずつ手剥きし、つなぎを使わず200匹分の身をまとめて炭火で焼いた白エビの福団子。残念ながら今回は訪問する時間の余裕がなかったので、外観だけ。
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富岩水上クルーズの乗船券は、富山ライトレールの片道乗車券付になっており、往路はクルーズ・復路はライトレールで、と両方が体験できるのが嬉しいサービスです。(逆ルートの運航もあるので、富山駅からライトレールで岩瀬まで移動し、岩瀬→富岩運河環水公園というルートを辿ることも出来ます。)

帰りは、岩瀬浜から出発する富山ライトレールに乗って富山駅まで約20分。全国に先駆け、初めて本格的LRT(次世代型路面電車システム)を採用したそうで、静かでスムーズな乗り心地。低床車両ポートラムは、バリアフリー賞やグッドデザイン賞も受賞しているのだとか。
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午前中いっぱい、盛りだくさんの小トリップでした。

2015年11月某日の旅先: 富山市富岩水上ライン、岩瀬、富山ライトレール