無芸大食・読書亡羊~美味しいものと本と旅~

美味しいものと本と旅が至福であり、生きがい。インスタ映えや星の数じゃなく、自分がいいと思えたものとの出会いを綴ってゆきたいです

鹿児島市「味のとんかつ 丸一」~驚きの厚さと大きさ、そして味わい~

2016年第1回目の旅先は、鹿児島県。当初、霧島にあるアートの森を目的地としていたのですが、諸事情により今回は鹿児島市内のみの1泊2日となった為、食べ旅に徹する方針に変更です。鹿児島といえば黒豚、薩摩料理、白熊…と美味しいものがあれこれ浮かびますが、初上陸でしたので、初心者らしく王道をいってみました。

到着後の第一食は、高見馬場にある「味のとんかつ 丸一」さんに。黒豚ブーム以前からの繁盛店と聞いていますが、噂に違わず11時半の開店時には、既にお店の前に列がずらり。ビル地下にあるお店の前には、長いベンチが用意されていて、暖かい室内で座って待てるのは有難いですね。運良く4番目でしたので、開店と同時に席に着くことが出来ました。

間口は普通ですが、店内は奥まで長く続いていて、カウンター以外にも小上がりが数席。カウンターも奥行きがあって、料理が載ってもゆとりがあり、肩を縮めるようにして食べる心配はありません。しかし、瞬く間に全席が埋まってしまいました。平日の昼から、凄い人気だなぁ…。

日頃はロースよりヒレを好む私ですが、脂も美味しいと言われている黒豚のロースを逃す手はありません。上ロースとヒレを、同行者とシェアすることにしました。

上ロースは厚いので少しお時間かかります」と、お店の方に言われます。そうでしょう、そうでしょう、凄く厚くて大きいんですよね、承知してます…。と、噂には聞いていて覚悟も出来てたのですが、いざ目の前に置かれてみると、3㎝もあろうかという厚さと、大きさに驚愕!こんなの見たことありません。

ヒレランチ定食
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◆ 上ロースカツ定食 
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しかし、心から驚くべきはその食感と味わいでした。ヒレ上ロースも、食い込む歯に抗うことなく、衣から肉の中心までさくっと一気に噛み切れるほどなのですが、決して頼りない柔らかさではなく、むっちりとした弾力も感じる、しなやかな柔らかさです。

ヒレ
は、すっきりとした軽やかな味わいで、肉塊を食べている重たさを感じることなく、すいすいと口に入っていきます。一方、上ロースは、甘くまろやかな脂とジューシーな肉部分のバランスが絶妙で、包丁が入った切り口からは一滴も肉汁が垂れていないのに、口の中に入れた途端に肉汁が迸るという、摩訶不思議なからくりに陶然としました。

「丸一」さんとんかつは、揚げる前に48時間熟成させているのだとか。だからこその旨味深さなのでしょうか。今までは、塩やソースをかけたとんかつを、ご飯やキャベツと共に咀嚼する旨さ・相性の良さを満喫してきましたが、「丸一」さんとんかつには、それを躊躇わせるほどの存在感があり、ご飯やキャベツは合いの手としながら頂きました。しかし、上ロースだけでもざっと350gあるそうで、食べても食べても減りません…。

かなり時間をかけて完食して、満腹感も、「肉食らった!」感も、ハンパなし。にもかかわらず、胃にずっしり溜まる感じも、油もたれも全くありませんでした。きっとこれが、鹿児島の誇る黒豚が凄いと言われる所以なのでしょう。もはや、奇跡のとんかつと呼び習わしたい…。

会計を済ませて出ると、依然お店の前には長蛇の列が。上ロースカツ定食だって、あれだけのボリュームでお値段2100円ですもの、近所にあったら、パワーランチと称して、しょっちゅう通ってしまうに違いありません。

鹿児島に着いてからわずか数時間で、早くも鹿児島の食文化に度肝を抜かれましたが、美味なるものを頂き、幸先の良いスタートが切れました。ごちそうさまでした。

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