無芸大食・読書亡羊~美味しいものと本と旅~

美味しいものと本と旅が至福であり、生きがい。インスタ映えや星の数じゃなく、自分がいいと思えたものとの出会いを綴ってゆきたいです

日本橋「そばよし」~寒い日にありがたい、だし香る一杯~

同じ東京都内でも都心と都下では気温が2~3℃違うのは自明の理ですが、その寒さは随分質が違う、と都心に出るといつも思います。月島や浅草、浜町、向島などの下町では、川風というのでしょうか、水辺ならではのひんやり湿った冷たさを感じますし、新宿や銀座、大手町などの街で感じる、高層ビル群の間を抜けるビル風吹きすさぶ寒さは、時として芯まで冷えるように感じることもあります。

この日の日本橋も、足元からビル風に煽られて寒いこと寒いこと。ちょうどお腹が空いてひもじくもあったのですが、昼にはまだ早く、食事にありつけそうなところが思い当たらず…。と、閃きました。日本橋なら、サラリーマンの頼もしい味方、立ち食いそば屋さんなら、朝から通し営業ではありませんか。早速三越前に移動して「そばよし」さに駆け込みました。

朝のラッシュは終わり、昼のピークまでにはまだ間があるというアイドルタイムで、店内はのんびりムード。立ち食いそば店に限らず、後ろがつかえている中で、ささっと注文して素早く食べて辞す、という飲食店のシステムが苦手な、のろまな私には大変有難い状況です。

◆ きつねそば
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朝から揚げものはちょっと重たいな…と、私には珍しくシンプルなきつねそばを。鰹節問屋さんが営むお蕎麦屋さんとして有名なだけに、だしのおごったつゆは、なるほどの旨みと風味です。つゆの味自体は私にはちょっと甘めではありましたが、れんげではなく、丼を抱えてぐぐっと啜りたくなるような飲みやすさがあり、冷えた体がぐんぐん温まってゆきました。蕎麦はシンプルな細めですが、ややつゆに負けている感じ。このつゆならいっそ、素麺を入れたにゅうめんでも美味しいかも、と思いました。

◆ 半ライス&卵
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炭水化物ダブルに腰が引けましたが、せっかく来たのだからと「そばよし」さん名物の鰹節のふりかけを食べんがため、半ライスもオーダー。卵かけごはんにすべく、も追加しました。鰹節のふりかけは、上階で作られている鰹節の製造工程で出る、削りかすの粉末なんだそうです。純度100%の鰹粉末をふりかけて、お醤油をちょっと垂らしたおかかごはんは、日本人のDNAを覚醒させる味。お行儀悪く、かっこみたくなる味わいです。卵かけご飯も合わなくはないのですが、味が緩和されてしまうので、鰹節の真髄を味わうには、卵はちょっと余計だったかも。シンプルにおかかごはんとして味わうのが最上と心得ました。

前述の通り、いろんな意味が気が急く立ち食い店は敬遠していたのですが、こういうお店も時間帯によっては落ち着いて過ごせるものですね。何よりも、寒い外から駆け込んだので、湯気の立つ店内はオアシスのように感じられました。体も温まり、お腹もくちくなったのに、お財布の中身はあまり減らず、有難いことだらけでした。

ごちそうさまでした。

2016年2月某日の旅先: 日本橋「そばよし」さん

そばよし立ち食いそば / 三越前駅日本橋駅新日本橋駅
昼総合点★★★☆☆ 3.0