無芸大食・読書亡羊~美味しいものと本と旅~

美味しいものと本と旅が至福であり、生きがい。インスタ映えや星の数じゃなく、自分がいいと思えたものとの出会いを綴ってゆきたいです

新宿「但馬屋珈琲店 本店」~喫茶店好きの原体験がここ~

洋画好きだった両親は、子供を預けて映画を観ることは考えなかったのか、字幕を追うことも覚束ない私を連れて、よく映画館に通っていました。23区内に住んでいた頃は銀座・有楽町に、そして京王線沿線に引っ越してからは新宿に、3人で連れだって出掛けたものです。今思えば訳も分からず連れて行かれ、途中で寝入ってしまうことも多かったのに、いずれの映画も、断片的にいくつかのシーンを覚えているから不思議です。

その後弟が生まれて母が手が離せなくなってからは、父も一人で観に行けばよいものを、私を連れて行く習慣はなぜだか変わりませんでした。字幕も読めるようになっていた私は、それなりに映画も楽しんで観たのですが、映画鑑賞の前後の食事や、お茶のオマケの方が、実は嬉しかったものです。もしかしたら父も、一人で食事やお茶をするよりは、子供でもいいから連れが欲しかったのかもしれません。

「但馬珈琲店 本店」さんは、その頃よく連れて行って貰った喫茶店です。このお店のある思い出横丁周辺は、今よりもずっと怪しげで怖い感じだったのに、よくもまぁ小さな娘を連れてこんなところに来ていたものです。今だったら非難轟々でしょうが、私の父は、子供がコーヒーを飲むことにも、喫煙OKの喫茶店に子供を連れていくことにも、あまり頓着しないようでした。ちょっと昔は、私の父に限らず、世の中そんなものだったのかもしれません。

そんなわけで、ちょっと薄暗い店内、コーヒーカップがずらりと並ぶ棚、ネルドリップで淹れられるコーヒーの香り、飴色に光る木のテーブルや椅子など、恐らく私の現在のコーヒー中毒と喫茶店好きは、この「但馬珈琲店」さんでの原体験が、大きな影響を及ぼしていると思います。

この日は、久しぶりに新宿で降り立つ用事があり、それならばと、わざわざ時間を調整して、「但馬珈琲店」さんに立ち寄る時間を作りました。

◆ オリジナルブレンド
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この世で一番幸せな気持ちになるのは、深煎りコーヒーの香り!とつくづく思います。その香りに違わず濃厚な苦みを感じるのですが、後口はさらりとして豊かな甘みが残るのが不思議。味わい深い一杯です。

◆ 特醸ツナと牛蒡のサンドウィッチ
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「但馬屋珈琲店」さん
は、コーヒーだけでなく、フードメニューも抜きん出ているお店だと思っています。まずは、サンドウィッチ。カリッとトーストされたパンは、噛みしめるとふんわりもっちりとしていて、ぎっしりサンドされたフィリングに負けない厚みが、食べ応え十分。ツナと牛蒡の組み合わせが大変素晴らしいのですが、チキンと蓮根のフィリングもあって、こちらもおすすめです。

◆ はじかみプリン
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デザートは、コーヒーゼリーにあんこときなこを乗せて、黒糖シロップをかけた珈琲ぜんざいが有名ですが、ジンジャーラヴァーの私は断然、はじかみプリンに軍配を上げる者です。生姜と名のつくものは何でも食べてみたくなる性分ですが、このはじかみプリンに匹敵するデザートは未だお目にかかったことがありません。生姜風味のプリンですが、辛っ、熱っ!と唸ってしまうほど、シャープで強烈な生姜の風味が、もう…たまりません。とろりとしたプリンの甘さを感じながらも、スカッと気分爽快になる、不思議な味わいがクセになる逸品です。

久しぶりに訪問したら、以前に比べてぐっと海外からの観光客の方の割合が増えていて、メニューも英語バージョンが用意されていました。この場所ですものね。来月には、南口に新店舗がオープンするのだとか。本店への愛は変わりませんが、新店にも一度は伺ってみたいと思います。

ごちそうさまでした。

2016年2月某日の旅先: 新宿「但馬屋珈琲店 本店」さん 

但馬屋珈琲店 本店喫茶店 / 新宿西口駅新宿駅西武新宿駅
昼総合点★★★★ 4.0

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