千日前「純喫茶アメリカン」~ため息ものの、オリジナリルデザイン~
大阪には色々な名物喫茶がありますが、今回の大阪旅行では大阪の建築を見て回るという目的もあったので、真っ先に訪問したのは「美津の」さんの真向かい、「純喫茶アメリカン」さんです。私は2回目、同行者は初めての訪問でした。
「アメリカン」さんの、深煎りコーヒーやフードメニューももちろん魅力的ですが、何といっても注目は、昭和21年創業当時のダイナミックでモダンな雰囲気を留める個性的なインテリア。レトロフューチャーなシャンデリア、幾何学模様のパーテーション、大理石の螺旋階段、タイル張りの天井、波打つように凹凸がある壁面、紺地にベージュと茶色のドット模様のソファなど、クラシカルとモダンが融合した、どこにもないここだけのオリジナリティ溢れる佇まいは、身悶えしたくなるほどシビれます。
◆ ビーフカツサンド
◆ ビーフカツサンド
マヨネーズから手作りだというビーフカツサンドは、銀のトレイにレースペーパーが敷いてあるのも、ポテトチップスが添えられてサーブされるのも、カッコいい!しっかり焼きのトーストが、揚げたての牛もも肉のカツの衣のサクサク感とよく合います。今回は美味しい深煎りのコーヒーと共に頂きましたが、ちょっとビールがほしくなります。
◆ ホットケーキ
同行者がオーダーしたホットケーキは、こんがりと美味しそうな焼き目が魅力的で、バターの香りと共に運ばれてきました。卵が入っていることが感じられるふわっとした口当たりで、先に頂いたお好み焼など同様に、粉の重たさを感じない軽さでした。添えられた白蜜と共に優しい味わいで、なぜか「ぐりとぐらのカステラ」を思い出しました。私はあまり普段ホットケーキを頂かないのですが、「アメリカン」さんのホットケーキは、とても美味しく頂きました。
「アメリカン」さんの素晴らしい点は、店内はユニークなデザインではあるものの、全てが上品にまとまっているところ、そして、決してお客さんに威圧感を感じさせるものではなく、むしろ喫茶店に一番必要な、落ち着いた雰囲気を作り出しているところです。その証拠に、ご近所の常連さんがお喋りに興じたり、新聞を広げて寛いでいたりと、日常生活の延長線上に存在する喫茶店なのだということがわかる光景をいくつも目にしました。店員さんも折り目正しく気持ちの良い接客で、本当に居心地の良い喫茶店です。
ちなみに、この素敵な店構えは、大阪市の生きた建築・大阪セレクションのひとつに選ばれていて、「気品たかく佇む‘べっぴん’な店構え 」と紹介されています。まさしくその通り!こういう有形文化財級の喫茶店は、いつまでも消えることなく続いてほしいと切に願います。
ごちそうさまでした。
2016年2月某日の旅先: 千日前「純喫茶アメリカン」さん