無芸大食・読書亡羊~美味しいものと本と旅~

美味しいものと本と旅が至福であり、生きがい。インスタ映えや星の数じゃなく、自分がいいと思えたものとの出会いを綴ってゆきたいです

道頓堀「道頓堀 今井」~再訪でも感動は褪せず~

旅先においては、ひとつでも新しいお店を体験したいという欲が強すぎて、一度行ったことのあるお店を再訪する機会は滅多にありません。しかし、前回「道頓堀 今井」さんで頂いたうどんの印象があまりにも強かったので、貧乏性の私と同行者のポリシーも簡単に翻り、今回の再訪と相成りました。

「今井」さんにはうどんを食べに行くというよりも、だしつゆを味わいに行く、というのが正確なところです。前回は冬の寒い時期に訪問し、あんかけうどんを頂いたのですが、しっかりとした旨みがあるのに雑味が全くないつゆに感動し、大阪のうどんつゆが美味しいという定説に心から賛同しました。この優しく深い出汁を味わうパートナーとして、蕎麦では香りがケンカしてしまいそうです。これまでうどんをやや軽んじてきていた私でしたが、うどんは出汁つゆを美味しく味わうために最適な存在なのと、この時初めてうどんの必然性に思い至りました。

◆ きつねうどん
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主張し過ぎてない、けれど懐の深さを感じるしみじみとした旨さの出汁、硬過ぎず柔らか過ぎずの、もちもち感のあるうどん、出汁をじゅわっとたっぷりたたえた大きなお揚げ。2回目であっても感動は褪せることなく、思わずだしつゆを全部飲み干してしまいました。揚げは甘めに煮含まれているのですが、私の苦手な舌に残る嫌な感じではなく、優しく包み込むような甘さです。

◆ けいらんうどん
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きくらげ入りのかきたまあんかけうどんです。ダシがおごっているので、シンプルな組み合わせでも、ふくよかで奥行きがあります。甘い揚げが載っていない分、こちらの方が塩気が際立ち、すっきりとした味わいでした。あんかけ仕立てなので、いつまでも熱々なのが冬に嬉しい一杯です。

きつねけいらんも非常に美味しかったのですが、個人的なイチオシは前回頂いたあんかけうどん。(写真は前回のもの)とろみのついたつゆに、トッピングはおろし生姜のみという潔さですが、出汁に関して絶対的な自信が感じられる「シンプル・イズ・ザ・ベスト」を体現している一杯でした。
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前回同行者が頂いたおぼろうどん(揚げトッピング)も、忘れられない味です。おぼろ昆布のとろとろが絶妙で、お腹も身体を優しく温めてくれました。かちん(焼き餅)の香ばしさが良いアクセントです。
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「今井」さんのうどんは丼がやや小ぶりなので、食い倒れ旅にはもってこいの、お腹に収まりやすい量です。また、旅行者にとっては、通し営業であるのも大変有難いお店です。

ごちそうさまでした。

2016年2月某日の旅先: 大阪・道頓堀「道頓堀 今井」さん

道頓堀 今井 本店うどん / 大阪難波駅日本橋駅近鉄日本橋駅
夜総合点★★★★ 4.2