世にも奇妙な君物語(朝井リョウ)~読後所感~
※あくまでも個人的な感想です。一部作品のあらすじやテーマに触れている箇所があります。
まだこの本を読まれていない方は、以下記述に目を通される際にはどうぞご留意ください。
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朝井リョウさんは、テレビドラマの「世にも奇妙な物語」の大ファンなのだとか。「世にも奇妙な君物語」は、同ドラマのオマージュとも取れる5編の短編集で、シェアハウス、リア充、モンスターペアレント、ネットニュースなど、世の中で話題となっているテーマを、朝井さんらしい視点で切り取った風刺小説。そのまま「世にも奇妙な物語」でドラマ化されても違和感のない、ちょっと奇妙で、ちょっと笑えて、最後にぞくっとする短編が揃っています。
まだこの本を読まれていない方は、以下記述に目を通される際にはどうぞご留意ください。
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朝井リョウさんは、テレビドラマの「世にも奇妙な物語」の大ファンなのだとか。「世にも奇妙な君物語」は、同ドラマのオマージュとも取れる5編の短編集で、シェアハウス、リア充、モンスターペアレント、ネットニュースなど、世の中で話題となっているテーマを、朝井さんらしい視点で切り取った風刺小説。そのまま「世にも奇妙な物語」でドラマ化されても違和感のない、ちょっと奇妙で、ちょっと笑えて、最後にぞくっとする短編が揃っています。
デジタルネイティブ世代である朝井さんの描く世界は、SNSを始めとするネット事情においても、コミュニケーション能力が問われる社会にしても、非常にリアリティがあるのですが、そんな渦中にいる世代でありながら、冷徹とも言えるほどの客観的な目線と、多くの人が薄々感じている違和感をきちんと言葉に出来る雄弁さ、そしてそれをエンタテイメント性のある小説に仕立ててしまえるストーリーテラーとしての筆力が、朝井さんの魅力だと思います。
しかし、恐ろしいほど客観的な朝井さんの観察眼は、世の中のあれこれをあげつらうためだけに発揮されているのではなく、人の中にある、些細で見過ごしてしまいそうな弱さや優しさも、同じくらい丁寧に掬い取っています。もちろん作家さんなのですから、ボールを投げて終わりのネット発言とは比べるまでもありませんが、本書でも、デフォルメされた世の中の風潮を辛辣に描いているものの、問題提起に対する朝井さんの答えがきちんと用意されているので、不快感が残らない、満足度の高い読後感を味わえます。
しかし、恐ろしいほど客観的な朝井さんの観察眼は、世の中のあれこれをあげつらうためだけに発揮されているのではなく、人の中にある、些細で見過ごしてしまいそうな弱さや優しさも、同じくらい丁寧に掬い取っています。もちろん作家さんなのですから、ボールを投げて終わりのネット発言とは比べるまでもありませんが、本書でも、デフォルメされた世の中の風潮を辛辣に描いているものの、問題提起に対する朝井さんの答えがきちんと用意されているので、不快感が残らない、満足度の高い読後感を味わえます。
ストーリー的に気に入ったのは、1話の「シェアハウさない」と、4話の「13.5文字しか集中して読めな」ですが、2話の「リア充裁判」は、私が常々うっすらと感じていることを全て代弁してくれたような爽快感を感じました。また、モンスターペアレントを描いた3話の「立て!金次郎」は、なんとなく暑苦しい話だなぁと思いながら読み進めているうちに、朝井さんらしいひとひねりある策略にまんまとハマっていたことに気づき、思わず唸りました。