無芸大食・読書亡羊~美味しいものと本と旅~

美味しいものと本と旅が至福であり、生きがい。インスタ映えや星の数じゃなく、自分がいいと思えたものとの出会いを綴ってゆきたいです

八王子「煮干鰮らーめん圓」~今回も当たりの一杯!~

八王子夢美術館で開催中のますむらひろし北斎展」観覧のため八王子へ。「アタゴオル」シリーズで有名なますむらさんの、プロの漫画家の手による模写にも感心しましたが、原画と比較して見れば見るほどに、北斎の天賦の才を見せつけられた思いです。筆の緻密さ、構図の大胆さ、発想の豊かさ…どれをとっても、今尚斬新でカッコいい。北斎の、稀代の天才っぷりに改めて感じ入りました。

この日は朝から寒空でしたが、八王子に降り立った途端、更にぐぐっと体感気温が下がっているのが感じられました。観覧後に外に出たら、冷たい雨がしとしとと。俄然温かいものが頂きたくて、八王子駅近くの「煮干鰮らーめん圓」さんを訪問しました。ラーメン店の激戦区である八王子に於いて、以前から噂を聞いていた有名店ですが、八王子で食事をする機会そのものが少ないので、今さらながらの初訪問です。

最近いくつかのラーメン店を経て、どうやら煮干し系のラーメンが一番好みに合うようだと分かってきたのも、今回の訪問の決め手。昔ながらのらーめんなるものに惹かれそうになりつつも、それは同行者にまかせ、私は煮干しらーめんを頂きました。

◆ 煮干しらーめん
スープを一口すすった時点で、見事なバランスの良さを感じました。「麺尊Rage」さんの「煮干しそば」のような、苦み走るほどのニボニボ感あるタイプも好きですが、「圓」さんのスープは、煮干しの深みと鶏ガラのコクがお互いに支え合い、ぴったりと釣り合いが取れていることが、味の幅と奥行きを生んでいるように感じました。

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細麺ではないのに、ちゅるちゅると喉越し良く口の中に入っていく麺も、メンマの柔らかく、さくさくとした歯ごたえも、透明感のある黄身のとろりとした濃度も、どれも好みでした。押し出しが強いわけではなく、すっきりとした親しみやすい味なのに、ずっと食べていたくなるような中毒性もあり、私にしては珍しく、箸とレンゲを一度も置くことなく、瞬く間に完食してしまいました。

同行者の昔ながらのらーめんも、煮干しらーめんよりは煮干し感が少ないとはいえ、昔ながらの中華そば的な味わい。きっと誰もが美味しい!と思う一杯なのではないでしょうか。

こぢんまりとしたお店ながら圧迫感のない設えも、個人的にはかなり高ポイントでした。清潔感を感じさせる店内というのは飲食店では当たり前のことのようでいて、意外と気になる店はあるものです。こちらは水周りの匂いなども皆無で、換気が良いのか空気の淀みもなく、気持ちよく食事が出来ました。ご店主はかつて寿司職人でもあったそうなので、厨房や店内の清潔感はそういった経歴も関係しているのかな、などと推察してみました。

また、カウンターに奥行きが十分にあるので、他の人と隣り合っていても窮屈な感じがせず、落ち着いて頂けました。これはカウンターの店で常々感じることですが、この僅かな奥行きスペースで、食事中のゆとりがぐんと違います。せっかくの美味しい一杯を、居心地悪く忙しなく頂くのは大変もったいないので、これは嬉しかったです。

決してマニアックではない、けれど真っ当な美味しさで「圓」さんのラーメンは、かなり印象深い一杯でした。学習能力がついてきたのか、最近訪問のラーメン店は当たりが続いています。嬉しい…。ラーメンを美味しいと思える季節のうちに、もう少し開拓を続けたいと思います。

ごちそうさまでした。

2016年3月某日の旅先: 八王子「煮干鰮らーめん圓」さん 

煮干鰮らーめん 圓ラーメン / 京王八王子駅八王子駅
昼総合点★★★☆☆ 3.6

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