無芸大食・読書亡羊~美味しいものと本と旅~

美味しいものと本と旅が至福であり、生きがい。インスタ映えや星の数じゃなく、自分がいいと思えたものとの出会いを綴ってゆきたいです

六本木「茅乃舎 東京ミッドタウン店」~ほっこり染み渡るソウルフード~

「おにぎり浅草宿六」さんのページでも述べましたが、以前はパスタやパンを中心とした洋食一途だった嗜好が、年を重ねるにつれて徐々に米食に傾いてきた私。だしのおごった汁ものの味わい深さにも、しみじみと感じ入るようになってきました。

あまりにも普段から口にしていたため、それまでは深く考えることもなかった出汁の味を、強く意識するようになったのは、コレド室町「日本橋だし場」さんのだしBARで、カップ一杯のだしを立ち飲みしてから。味の付いていないだしをそのまま頂くという、にんべんさんの、あの斬新かつダイレクトなアプローチに衝撃を受けた方は多いと思いますが、味覚だけでなく身体中で旨味を感じ取るような体験を経て、日本で生まれ育ってきた食習慣が、自分の内に深く根差していることに感動を覚えました。

さて、この日は「21_21 Design Sight」の展示を観た後、お茶でもしようとミッドタウンに入った際に、「茅乃舎」さんのお店が目に留まりました。最初は柚子スカッシュ生姜スカッシュで喉を潤そうと考えていたのですが、店内から漂ってくる豊かな出汁の香りに鼻腔をくすぐられ、「そういえばちょっと小腹が空いている…」と方向転換。とはいえ、数時間後に夕食の予約を入れていたので満腹になるわけにはいかず、汁ものとおにぎりの1セットをオーダーし、同行者シェアすることにしました。

◆ 十穀茅汁&おにぎり2個セット
基本は、牛蒡と豚肉、十穀が入った醤油ベースの十穀茅汁または九州の豚汁に、白米か玄米のおにぎりが2個つくセットです。+50円で2個とも生姜おにぎりにして貰い、十穀茅汁とセットにしました。
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「日本橋だし場」さんで目覚めて以来、自宅でもだしを取る手間を惜しまぬようになりつつありますが、それでも忙しい時はだしパックに頼ってしまう私。そんな時には、友人から出産内祝いで頂いたのがきっかけで利用するようになった「茅乃舎」さん茅乃舎だしパックが登場します。なので、茅乃舎だしの味には馴染みがあるはずなのに、味付けや具材の違い(+調理の腕)で、とても新鮮な一杯に感じられました。あ~染みるぅ…。おにぎりのお米も、ちょっと硬めの炊き加減も、いい感じ。ファストフード感覚で手軽に頂けるスタイルでありながら、きちんと身体にいいものを頂いた、という満足感も得られるのが嬉しいです。
 
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卓上にあった胡麻ふりかけ生七味も頂いてみました。生七味が、香りの良さ、ピリ辛加減、しっとり感と三拍子揃った逸品で、ついつい何度も手が伸びてしまいました(食後に隣接のショップで購入したので、ご容赦を…)。

この日は朝から用事をこなして歩き回っていたため、ちょうど疲労が募っていたタイミングだったのですが、このセットのおかげで、温かく滋味深いだし汁が胃の腑まで染み渡り、身体のこわばりがゆるゆるととれてゆきました。コーヒーやスカッシュで得るものとはちょっと違う感覚です。これぞ、日本人のソウルフードだなぁ、と思ったことでした。

食の好みが変わり、それまでの好物を、段々好きでなくなっていくことをさみしく思っていたのですが、考えようによっては、その代わりに他の食べ物に興味が湧くなど、美味しいと思うモノの幅が広がるわけですから、むしろ良いことなのかもしれません。おにぎりと汁ものというシンプルな献立に、心から安らぎを覚える自分の変化が、ちょっと嬉しくも思えたひとときでした。

ごちそうさまでした。

茅乃舎 東京ミッドタウン店和食(その他) / 六本木駅乃木坂駅六本木一丁目駅
昼総合点★★★☆☆ 3.5