無芸大食・読書亡羊~美味しいものと本と旅~

美味しいものと本と旅が至福であり、生きがい。インスタ映えや星の数じゃなく、自分がいいと思えたものとの出会いを綴ってゆきたいです

代々木上原「アステリスク」~絶品、バルケット・オ・フリュイ~

代々木上原に出掛けると、帰りに「アステリスク」さんのケーキをお土産に買って帰り、優雅なお茶の時間を過ごそうかな、という気持ちになります。というのも「アステリスク」さんのシェフは、私の実家近くの調布駅にある老舗有名洋菓子店「サロン・ド・テ・スリジェ」さんのご出身。昔から慣れ親しんだ味だからなのか、とても親しみやすさを覚えるのです。

◆ バルケット・オ・フリュイ
この日は、ショーケース上部にあったバルケット・オ・フリュイに目が留まりました。季節によって上に乗るフリュイ(果物)の種類が替わるようですが、この日はベリーアプリコットリンゴのラインナップ。ベリーアプリコットの2種を購入しました。
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一口頂いて、このバルケットに巡り会えた僥倖に感謝!幾重にも重ねられたパイ生地の香ばしさと、ギリギリの甘さで仕上げられた、ジューシーな果実感が活きたフィリングの相性とバランスが素晴らしく、この上なくシンプルなのに、ふくよかで余韻の残る味わい。一口咀嚼し終わらないうちに、もう次の一口が待ち遠しくて、唾がたまってしまう有様でした。これはリピート確定!

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「ドゥ・マゴ・パリ」さん「ラ・メール・プラール」さんのレビューにも書いた通り、タルトタタン好きなもので、即決購入。個人的にはもう少し酸味が強いものが好みですが、丹念に重ねられたリンゴから滲むキャラメリゼのコク深さは、クラシックで正統派の味わいと言えるのでは。華美に走らない、控えめな品の良さに、姿勢を正して頂きたい気持ちになりました。

◆ オール
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「アステリスク」さんのケーキの見目麗しさは一目瞭然ですが、決して下品に転ばない、ノーブルな佇まいが魅力的。人気商品のオールは、アプリコットパッションフルーツのクリームと、ヘーゼルナッツのプラリネクリームなどを9層重ねたものです。様々な味を組み合わせた重層的なケーキには、ただただノイジーな印象を受けてしまうことが多いのですが、「アステリスク」さんオールには、立体的且つ繊細な味わいを感じます。凝った構造ながら、食べる者に威圧感を与えない点も、好ましく思っています。

2種の生ケーキも言うことなしの美味しさですが、やはり出色の一品はバルケット・オ・フリュイ。かつて調布の「スリジェ」さんの名物ケイク・ルージュ(これは「アステリスク」さんにもあります)に魅了された時のような、お菓子を頂く際の特別感や高揚感を思い出しました。
 
宝石のように煌びやかでリッチな味わいのケーキは、滅多に頂かないものだからこそ、大事に大事に口に運び、静かに舌鼓を打ちたいものです。美味しいケーキのお蔭で、満ち足りた時間を過ごすことが出来ました。

ごちそうさまでした。