無芸大食・読書亡羊~美味しいものと本と旅~

美味しいものと本と旅が至福であり、生きがい。インスタ映えや星の数じゃなく、自分がいいと思えたものとの出会いを綴ってゆきたいです

校閲ガール ア・ラ・モード(宮木あや子)~読後所感~

※あくまでも個人的な感想です。一部作品のあらすじやテーマに触れている箇所があります。
まだこの本を読まれていない方は、以下記述に目を通される際にはどうぞご留意ください。

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憧れのファッション誌「Lassy」の編集者を目指して出版社への就職を勝ち取ったファッショニスタ・河野悦子が、その名前ゆえか校閲部に配属されてしまい…という設定で、オシャカワこと悦子を中心に、校閲や出版社の仕事のウラオモテを描いた業界エンターテイメント感満載の傑作校閲ガール」のスピンオフ。校閲ガール」にも登場する悦子の周りの個性豊かな人々(同僚の帰国子女森尾、校閲部の米岡、編集部の貝塚ら)のエピソードを交えた短編集です。
 
校閲部の部長からは「暴れ馬」と称される悦子は、無礼でブルドーザーみたいな性格なのですが、物事の本質を見極めていて、リズミカルにぽんぽんと飛び出す言葉はいちいちごもっとも。スカッと気分爽快にさせてくれる歯切れのいい啖呵も魅力的な彼女ですが、仕事に対しては驚くほど真面目で手を抜かず、校閲者としてもピカ一。

R-18文学賞でデビューされ、官能的な小説も多い宮木あや子さんですが、エンタメ小説もとびきり面白くて「憧憬☆カトマンズ「婚外恋愛に似たもの」など、愛すべきキャラクターと疾走感溢れるコミカルな文体にすっかりハマっています。特に校閲ガール」は、出版業界のエピソードもいちいち面白くて一番好き。舟を編むといい、現在放送中のドラマ重版出来!オダギリジョー好きで見始めましたが、めちゃくちゃ可愛い黒木華ちゃんにゾッコン)といい、どうも私は出版業界が舞台のオハナシが大好物なんだな…。
 


舟を編む (光文社文庫)
三浦 しをん
光文社
2015-03-12


今回悦子はあくまでも脇役で、彼女同様味のある同僚たちが中心ですが、やっぱり面白かった!巻末のおまけマンガで受付の今井が嘆いているように、まだまだ他にもエピソードを持っていそうなクセ者たちがたくさんいるので、是非是非読みたい。そして、やっぱり一番魅力的な悦子を主役に据えて、末長いシリーズ化を希望します!

宮木あや子さんの他作品に関する読後所感
「校閲ガール トルネード」