無芸大食・読書亡羊~美味しいものと本と旅~

美味しいものと本と旅が至福であり、生きがい。インスタ映えや星の数じゃなく、自分がいいと思えたものとの出会いを綴ってゆきたいです

山梨・小淵沢「井筒屋」~さっぱり鰻が新鮮!~

身内孝行目的で、小淵沢にあるリゾナーレ八ヶ岳に宿泊することになりました。東京都下で育ったので子供時代は、やれ移動教室だスキーだとよく訪れていたお隣の山梨県ですが、大人になってからは訪れる機会がすっかり減ってしまっていました。久しぶりの中央道~♪

今回は適度に旅気分が味わえる距離、大勢で泊まれる施設、そして個人行動が多い我が一族がそれぞれ好き勝手に過ごせるという条件のもと、小淵沢が目的地に選ばれました。ごはん担当の私、山梨県に関する引き出しが非常に少なかったのですが、今回色々と調べてみて大変勉強になりました(笑)。

初日のお昼は小淵沢駅のそばにある「井筒屋」さんで。身内の意向を優先しての訪問ですが、私自身は以前に比べると激しく鰻を欲することが少なくなってきたので、鰻を食す機会も久しぶり。記憶を辿ってみたら、昨年松本の「まつか」さんで頂いて以来でした。

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LOは13時半とのことで、13時頃の到着で何とか滑り込めました。良かった~。平日の雨模様の日だったので空いていた方だと思いますが、それでも入店まで15分待ち。台湾か中国か、アジア系の海外のお客さんもいらっしゃいました。

◆ かめ塩のうなぎ
個人的に楽しみにしていたのは、「かめ塩のうなぎ」なる珍しい白焼きの食べ方です。よりさっぱりと頂けることと、鰻屋さんによってはタレの味が好みとかけ離れている所もあるという理由で、最近は白焼きに惹かれていたのですが、こちらの「かめ塩のうなぎ」はレモンを絞って山椒塩をかけて頂くんですって。

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注文してから焼きあげられるので、それなりに時間がかかりますが、待ちわびた頃に供されると喜びもひとしお。ふっくら肉厚の白焼きには予め山椒塩がかかっていて、そこに自分でレモンを絞って頂きます。これがなかなか楽しい演出で、ところてん突きの中にくし切りレモンが入っていて、ぐっと棒を押すと、本来ところてんを出す網目からレモンの絞り汁が出てくるという仕掛けです。竹筒の七味入れには山椒塩も入っていて、どちらも好みで調節できるところが嬉しいですね。
 
炭火の芳香をまとった鰻は程よく脂が落ちて、身の味がダイレクトに伝わってきます。山葵醤油で頂くよりも、繊細な味わいを堪能出来るので、この食べ方は大変気に入りました。家人に請われるまま味見させたら、存外に結構な量を持っていかれてしまったのが悔やまれます。もっとガッツリ食べたかった…。再訪することがあれば、次回も迷わずこれを頂きます!

◆ うな箱一のう(中)
他の面々は、「井筒屋」さんでは「うな箱」と称されるスタンダードな鰻重を頂きました。並・中・上とありますが、夕食のためにお腹を空けておきたいと皆「中」をオーダーしていました。鰻のお膳メニューはこの他に、うな丼、白焼き丼などがありました。

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鰻の関東風・関西風の境界線はどこなのかはよく分からないのですが、「井筒屋」さんは蒸しの入る関東風でした。子供の頃はとろけるような柔らかさの関東風が好みでしたが、大人になってからは関西風の香ばしい地焼きが好きな私ゆえ、脂がちょっと重ために感じましたが、タレはすっきりとしていて美味しかったです。何よりも身内の面々の満足そうな笑顔と、「連れてきてもらって良かった」との一言で、ごはん担当としては大満足です。

尚、うな箱かめ塩のうなぎも共に、ご飯はお店の所在地である北杜市のお米、武川米を使用しているそうですが、硬めの炊き具合が柔らかな鰻の身と絶妙なバランスで、とても美味しく頂きました。

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 「井筒屋」さんは昔の風情漂う1927年築の建物ですが、アンティークランプや北欧家具が配された大正ロマン風にまとめられたインテリアといい、ピクチャーウィンドウから庭の緑を眺められるカウンター席を設けてあるなど、センスが光る店内にテンションが上がりました。今回は大勢だったのでテーブル席になってしまいましたが、カウンター席で外の風景を眺めながら鰻を頂くなんて素敵ですね。
 
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かめ塩のうなぎの新鮮な味わいにも、お店の雰囲気もすっかり魅了されました。ごちそうさまでした。

井筒屋うなぎ / 小淵沢駅
昼総合点★★★☆☆ 3.5