無芸大食・読書亡羊~美味しいものと本と旅~

美味しいものと本と旅が至福であり、生きがい。インスタ映えや星の数じゃなく、自分がいいと思えたものとの出会いを綴ってゆきたいです

山梨・小淵沢「Otto Sette(オットセッテ)星野リゾート リゾナーレ八ヶ岳」~地の恵みを堪能できる、嬉しい期待はずれ~

夕食は、リゾナーレ八ヶ岳のメインダイニングのイタリアン「Otto Sette(オットセッテ)」さんで頂きました。このリゾナーレ八ヶ岳を手がけた建築家によるデザインの店内は、吹き抜けの天井高な空間がシックな色調でまとめられていて、モダンイタリアンの洗練された雰囲気です。

レストラン利用のみも可能なのと、団体宿泊客の対応で、平日夜にもかかわらず大変賑わっていました。けれど、隣のテーブルとの間隔が十分空いたゆとりある配席なので、他テーブルのざわめきがちっとも気にならず、とても居心地の良い空間でした。

◆ ミネストローネ
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根菜も含め八ヶ岳産野菜がふんだんに入った生姜入りのミネストローネは、滋味深い味わい。体が温まってこれからのコースに期待が持てます。

◆ アンティパストミスト
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虹鱒、岩魚、鮎、海老、トマトなどの食材を用いたアンティパスト。素材の組み合わせや盛り付けも大変凝っているのですが、それが不思議と煩くなく、過度に手が加わることでそれぞれの持ち味が損なわれることのないバランスがお見事でした。魚、野菜、ソース、それぞれの味を舌で確かめられるのに、料理として完成された一体感も感じられました。

◆ インサラータ
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ガラス皿の周りにカラフルに美しく盛りつけられた野菜は彩り目的だけではなく、下味がついたスープ蒸しになっていて、きちんと美味しいサラダです。野菜そのものの味と歯応えを楽しめる一方で、ドレッシング要らずの軽めの味加減が絶妙で、丁寧な下拵えを感じる一品でした。中央にあるのは、山梨ブランド肉である富士桜ポーク、甲州ワインビーフ甲州地鶏を使ったテリーヌやリエットなど。全て種類の違う野菜の甘味や歯触りをひとつひとつじっくり堪能出来る、楽しいサラダでした。

◆ フェガート
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フォアグラのソテーに玉葱のピュレが添えられた一皿に、フォアグラ大好きな私はテンションが一気に上がりました。肝臓類があまり得意でない身内の面々も「このフォアグラは美味しい」と、とても好評でした。

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パスタは2種。ハマグリのエキスをたっぷり吸ったタリオリーニと蕪が絶品でした。緑濃い蕪の葉のほのかな苦みが良いアクセント。とても気に入りました。

◆ スパゲッティー
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アスパラ入りのカルボナーラも、ねっとりまろやなかソースが美味。生クリームを入れない本場仕立てで、コクがあるのに舌に残らない軽い後味が、アスパラの甘さを際立たせていました。

◆ カルネ
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サーロインは文句なく美味しかったのですが、皮つきのヤングコーンのグリルも出色。生から焼いたヤングコーンは瑞々しく、青みを感じる甘さは今まで食べたことのない味わい。八ヶ岳の自然の恵みをダイレクトに味わえました。

◆ プリモドルチェ
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旬のさくらんぼを使ったデザートは、丸ごとのさくらんぼがはいったジュレ仕立てに、さくらんぼのムースがかかったもの。甘酸っぱさと芳香が口直しにぴったり。

◆ ドルチェ
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ティラミスまたは苺か甘夏を使ったデザートの3種から選べるスタイル。私は苺のゼリー仕立てとレモンソルベを。同席者が選んだ、メレンゲボールに甘夏のソースを入れたデザートも素敵な味わいでした。
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◆ カフェ
食後のカフェも、マカロン、トリュフ、キャラメル、メレンゲなど8種類の小菓子付きと豪華で、締めくくりまでぬかりなし。食べきれなかった分は部屋に持ち帰れます。

「Otto Settte」さんは、八ヶ岳の食材を駆使した独創的なイタリアンが堪能できるとの触れ込みでしたが、星野リゾートさんのダイニングとはいえ、技巧に走ったスノッブなレストランではなかろうか…と実は密かに危惧しておりました。しかし蓋を開けてみれば、それぞれのお皿はもちろん、コースの組み立てとしても100%私好みで、予想を大きく裏切られる嬉しい結果となりました。

一番感心したのは、食材の持ち味を消し去ることない火入れや、メリハリの効いた味付けです。「食材そのままの自然の美味しさを」などと、手を加えずに素材丸投げにする料理にも辟易しますが、凝りに凝るあまり素材がどれでも同じ味になってしまうのでは…と感じるような料理も興醒めで、素材が素晴らしいほどその距離の測り方は難しいものだと思いますが、「Otto Sette」さんのお料理は、素材への敬意を払いつつ、更に印象的な一品に昇華させているのが素晴らしいと思いました。またサービスも素晴らしく、一族面々も寛いだ雰囲気の中、会話を楽しみながら美味しいお料理を堪能し、実りあるひとときを過ごすことが出来ました。

リゾナーレ八ヶ岳の施設自体は一度体験すれば十分という感じでしたが、「Otto Sette」さんは是非再訪したいと思えるレストランでした。季節感ある料理が楽しめるので、四季折々の旬を味わってみたいと思いました。

ごちそうさまでした。

OTTO SETTE 星野リゾート リゾナーレ八ヶ岳イタリアン / 小淵沢駅
夜総合点★★★★ 4.0