無芸大食・読書亡羊~美味しいものと本と旅~

美味しいものと本と旅が至福であり、生きがい。インスタ映えや星の数じゃなく、自分がいいと思えたものとの出会いを綴ってゆきたいです

山梨・長坂「清春芸術村」~白樺派ゆかりの芸術が集結~

初日は曇天でしたが、2日目は見事な快晴となりました。
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ゾナー八ヶ岳
内の「Y&Yグリル」でビュッフェの朝食を頂いた後は、早速観光に。道の駅で新鮮野菜をしこたま買い込んだり、これまた辺鄙な場所にあるパン屋さんに立ち寄ったりと道草を食いながら辿りついたのは「清春芸術村」
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こちらは、同人誌「白樺」を所蔵した白樺図書館や、武者小路実篤志賀直哉白樺派文人たちの夢であった幻の美術館を体現した「清春白樺美術館」安藤忠雄さん設計の「光の美術館」などが集まった芸術村です。それぞれの建物は小規模ですが、敷地は存外に広く、たっぷりと空間を使って贅沢に配されています。
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白樺派の人々が愛したジョルジュ・ルオーのコレクションや、梅原龍三郎岸田劉生白樺派関係者の資料が常設展示されている他、私達が訪問した際には日本画家・東山魁夷さんの企画展が開催されていました。谷口吉生さん設計の館内は、階段状に回遊して作品を鑑賞できるようになっており、目線の高さに合わせたユニークな展示方法なのですが、幽玄感じる東山さんの幻想的な色調との対比を面白く感じました。

ジョルジュ・ルオー記念館(礼拝堂)
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宗教画家であるルオーの作品は清春白樺美術館に展示されていますが、礼拝堂入口に飾られたステンドグラスも彼の作品。石造りのこじんまりとした小さな礼拝堂で、静謐で厳かな雰囲気を持ちながら、天窓から優しく差し込む光が心を落ち着かせてくれます。
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◆ 光の美術館
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鉄筋コンクリート造の2階建ての小さな美術館ですが、吹き抜けになっているため、中に入ってみると意外にも広々とした空間のように感じられます。こちらにはピカソの後継者と謳われたアントニ・クラーベのコレクションが常設展示されているのですが、人工照明が一切なく、天窓から入る自然光のみで作品を鑑賞するという安藤忠雄さん設計の建築もまた作品の一部であると感じます。天気によって採光が変わると、また趣に変化が生じて面白いのでしょうね。
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敷地内には他にも、新宿から移築された梅原龍三郎のアトリエや、鎌倉の小林秀雄邸にあったものを移植した桜の木、セザールやロダンなどの野外彫刻も飾られています。

◆ モンパルナスにあるアトリエ兼住居を模したラ・リーシュ
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◆ 建築史家の藤森照信さん・南伸坊さん・赤瀬川原平さんら「縄文建築団」によって作り上げられた茶室・徹
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山梨県の指定天然記念物である臥龍
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穴場なのかこの日は来館客も少なくて、ゆっくりと見て回れました。興味を引かれる観光スポットが少ない分(失礼!)、一か所をゆっくり観光するという過ごし方になりましたが、こういうのもいいものですね。

この清春芸術村の駐車場奥に、「素透撫」さんという小林勇の冬青庵を移築、改修した料理店があり、とても気になりました。竹箒の目隠し塀の外観だけ見ても佇まいがとても素敵で、今回はお邪魔できませんでしたが、いつか訪問してみたいと思いました。