南阿佐ヶ谷「SONKA」～フランスパンの美味しさ再発見～

パン自体はとても好きなのだけど、とにかく食事にありつくのに店の前に長時間並んで待つ…という行為が大変苦手で、いっときとみに多くなった「並ばなくては買えないパン屋さん」系からは、めっきり足が遠のいている。美味しいんだろうなぁ…。けれど行列は嫌。

仮に我慢して並んだとしたら、せっかくだからあれこれ種類を買いたくなってしまうだろう。 でも、大量購入してしまっては、きっと美味しいうちに食べ切るのは難しかろう。美味しく頂けないならパンも私も可哀そう…。そんなジレンマに苦しむくらいなら、いっそ背を向けてしまえ！とここ一年くらいパンについては後ろ向きになっていた。

が、ここ最近は「すぐに買える」「並んでも大した時間ではない」または「ラインナップがわかっていて事前予約出来る」という条件に見合った、好みのベーカリーを近所に見つける楽しさを知った。

最近大変気にいっているのが、最寄駅は南阿佐ヶ谷（といっても南阿佐ヶ谷の駅からもちょっと遠い）、五日市街道沿いにある「SONKA」さん。すぐそばには善福寺緑地がある。わざわざ行くには少々面倒なロケーションではあるので、近所に住む区民ならではのフットワークの利だ。

「フランスパンとサンドウィッチの店」とうたっている通り、こちらのメインはフランスパンで、これが絶品！細めでスマートなフォルム、カリッと香ばしいクラストに覆われた皮の硬さとは裏腹に、噛みしめると瑞々しいとさえ感じる内側の食感と、小麦と酵母の濃密な旨味。「僕の今の全てです」と書かれたカードと共にカウンターに並んでいる「フランスパン」も、プチプチと口の中で弾ける食感が楽しい「雑穀フランスパン」も、どちらもかなり私好み。

出来ることなら、パンは焼き立ての美味しいうちにすぐ食べたい。だから「SONKA」さんや、以前書いた荻窪「えだおね」さんのように、カフェが併設されているベーカリーはとても有難い。その場で頂けるという美味しさの特典はもちろんのこと、お店で作られたパンの美味しい頂き方の提案はとても参考になり、買って帰ったパンを自宅でどう食べるかという楽しみも増えるからだ。

「SONKA」さんでは、店内で各種パン、サンドウィッチ単品、あるいはこれに野菜スープと、コーヒー又はソフトドリンクがセットになった「ランチセット」が頂ける。更に「Ｗランチセット」といってサンドウィッチ2品を選べるセットもあって、欲張りな私はいつもこれ。ランチという名称がついていながら、このセットは開店から閉店までいつでも頂けるのも嬉しい。

◆ ホットドッグ

サンドウィッチ類はオーダーしてから作って下さるので少々時間がかかるが、運ばれてきた時の感動が否が応にも増す。ソフトフランスではなく本格的なフランスパンで作られるホットドッグは珍しい気もするが、ガリッと音が立てながらクラストを噛み砕いた先にぷちっとソーセージの肉汁が弾ける感覚が面白くて病みつきになる。ソーセージに負けないパンの味わいにも驚く。

◆生ハムとクリームチーズ

どうです、この美しい焼き色！ジャンボンブールに代表されるように、バゲットサンドの具はシンプルな組み合わせが最も美味だと思うが、「SONKA」さんのサンドウィッチメニューも、シンプルでオーソドックスな組み合わせが多い。この「生ハムとクリームチーズ」や「ももハムとゴーダチーズ」は、やっぱりベスト・オブ・ベストかな。噛めば噛むほど味わい深いパン単体の小麦の甘み、ハムの塩気、チーズのまろやかさが黄金バランス。

◆バゲットショコラ

熱々の雑穀フランスパンで、サンドされた冷たい板チョコがゆっくり溶けていく様を感じながら頂く。雑穀フランスパンの僅かな塩気がチョコレートの甘味を引き立て、更に雑穀自体の食感と香ばしさが加わり、クランチチョコのような食感も楽しめる。

お店の公式HPによると、店主の方は元々は特にフランスパン好きという訳ではなく、パン職人になってからフランスパンの奥深さに目覚めたそうだ。私もハード系のパンが好みとは言え、声高に叫ぶほどフランスパンが好きという訳ではなかったのだが、「SONKA」さんのフランスパンとサンドウィッチを頂いてからは、かなりフランスパンに傾倒している。

サンドウィッチには、日替わりや土日限定のメニューもある。私が大体決まった曜日にしか伺ってないせいで、まだ出会えていないものも多く、気になっているのが、「にんにくきのこ」、「レバーペーストのタルティーヌ」、「ひじきチーズ」、「アボカドナッツ」。まだまだ訪問する楽しみが尽きない。ふふふ。

ごちそうさまでした。

SONKA （パン / 南阿佐ケ谷駅）
昼総合点★★★☆☆ 3.5