無芸大食・読書亡羊~美味しいものと本と旅~

美味しいものと本と旅が至福であり、生きがい。インスタ映えや星の数じゃなく、自分がいいと思えたものとの出会いを綴ってゆきたいです

国分寺「胡桃堂喫茶店」~心ときめくその場所は~

こんな喫茶店待ってた!とちょっと感動したのが、国分寺「胡桃堂喫茶店」さん。

西国分寺「クルミドコーヒー」さんも大好きで、一時期随分お世話になっていのだが、いつの頃からか、いつ伺っても満席の人気店になってしまい、自然と足が遠のいていたところだったので、友人から2号店の「胡桃堂喫茶店」さんの情報を教えてもらってから、ずっと行きたいと思っていたのだ。結果的にすごく気に入ってしまって、間を開けずに再訪問たくらい。
 
初訪問時には、もう外観からしてやられてしまった。青みがかった鈍色の外壁にすりガラスの窓は、古民家とは違うレトロな趣でしびれる!たとえば、武蔵小金井にある江戸東京たてもの園(あそこに住みたいくらい好きだ)の建物群の中にあっても違和感ないくらいセンスある建物なのに、周囲から浮かずにしっくり収まっているところが、尚良いのだ。

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店内もまた素敵。「クルミドコーヒー」さんは、お城の塔のような、ツリーハウスのような、上下に入り組んだ造りが楽しいが、「胡桃堂喫茶店」さんは、広々とした
2階がこれまた
渋い色の壁面で、落ち着いた雰囲気。窓からの採光が程よく、適度な暗さの中に優しい明るさが介在する、ヨーロッパの部屋のような趣で、居心地の良さは抜群だ。大テーブル有、向かい合わせの2人席有、窓に向かったカウンター有と様々な席が設けられている他、重厚感ある調度品も配されているのに、席間も程よく、圧迫感がない。
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◆おやきセット
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初回訪問時は、おやきセットを頂いた。上井草の「いわさきちひろ美術館」のランチセットにもあったけど、東京ではおやきって日常的に食べるものではないので、メニューに見つけると嬉しくなって頼んでしまう。中は、くるみ肉味噌とおから大根。
粉モノだし、セットのお味噌汁が大ぶりの具沢山タイプなので、意外と食べごたえ・満足感あり。ドリンクも多彩で、苺サイダー甘酒台湾茶など凝ったものも多く、色々試したくなる!

信濃ぐるみのタルト
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「クルミドコーヒー」さんといえば、クルミドケーキが名物だが、こちらはやっぱり信濃ぐるみのタルトになるんだろうか。自家製あんこが載っているのが面白い。

冷や汁セット
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ランチセットは季節替わりなようで、
2回目に伺った際には、冷や汁夏野菜の揚げびたしが付いた冷汁セットが。宮崎県には全くゆかりがないのに、夏場は自己流で作って常食するくらい彼の地の名物冷や汁が大好物なので、宮崎料理専門店以外で冷汁を見つけるとこれまた「おっ!」と嬉しくなって頼んでしまう。鯵とトマトのマリネが添えられているのがオシャレで、くるみもたっぷり入った、まろやかでコクのある濃厚な汁が美味しい。この日のように、焼かれるかの如く暑い陽気には、さらさらするりと頂ける冷や汁がぴったり!

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一緒に行った母は”汁かけご飯”形式があまり好きでなく、娘の冷や汁好きにもずっと無関心だったのだが、こちらの冷や汁には食指が動いた様子。
実際、食べてみたら「美味しいのね~」と感心していて、どうやらやっと、冷や汁という食べものを気に入ってくれたようだ。食わず嫌いにとって、初チャレンジで出会う味はとっても大事だと思う。初めての出会いが「胡桃堂喫茶店」さんの冷や汁で、本当に良かった!

◆季節のフルーツ盛りだくさん胡桃堂あんみつ
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実は母のお目当ては自家製あんを使ったシベリアだったのだが、こちらではちょっとアレンジされていて、残念ながら母の苦手なホイップクリーム入りだそうなので、
フルーツあんみつに。ごろっと大き目のフルーツが入った豪華なあんみつも、お気に召したようだ。

◆氷もも
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私は氷もも。この夏初のかき氷が大好きな桃!嬉しい。蜂蜜檸檬シロップがかかっているけど、あくまでも主役は瑞々しい桃の風味。桃自体のあえかな甘味と、ふんわり氷が相まって、この儚さが何とも言えない味わい。

「胡桃堂喫茶店」さんは、「胡桃堂書店」さんでもある。1階入り口脇から、2階に上がる階段伝いに、そして2階席のブックシェルフ…と、ずらりと並ぶ本を手に取って見ずにはいられない。テーマを決めてセレクトしてあるのは最近の本屋さんの主流だが、面白いのは新刊だけでなく、地域の方が持ち込んだ本や、同店のオリジナルレーベルまで揃えているところ。初回訪問時は、同行者も本の虫だったので、2階でご飯とお茶をしたのちに、書棚を散々物色して、結局5時間ほど滞在してしまったくらい。素敵すぎる、この空間!
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お店のインテリアも、本のセレクトも、そして誠実ながらちょっとひねりもあるメニューの数々も、作り手であるお店の方々が、とても楽しんで作っていらっしゃるんだろうなと思わせる雰囲気が、お店の隅々に満ち満ちているのが好ましい。更にそれが、決して独りよがりでも押し付けがましくなく、いいなと思うものたちをただ置いてみました、というさりげない感じが、この喫茶店を素敵なものにしているんだと思う。

良い喫茶店に巡り合うたびに、自宅のそばにあったらなぁと焦がれてしまうのだが、おこもり大好きな私の場合、家の近くの喫茶店には実はなかなか行かないものだ。
出先から帰ってきても喫茶店に寄らずに家に帰ってしまうし、お茶だけをしに自宅から出て喫茶店に行くことはめったにない・・・。

だから、心ときめく喫茶店は、すぐ行けるけどちょっとだけ離れている、このぐらいの距離がちょうどいいのだ、きっと。別段気合を入れなくても、思い立って電車にひょいと乗って気軽に寄れる、そんな場所が国分寺に現れてくれて、本当に嬉しい。

ごちそうさまでした。

胡桃堂喫茶店喫茶店 / 国分寺駅
昼総合点★★★★ 4.0