福井県勝山市「かつやま恐竜の森」～学びと遊びのテーマパーク～

「谷口屋本店」さんを出てから、今度は南下して永平寺口駅に移動し、そこからえちぜん鉄道・通称えち鉄を利用して勝山駅を目指す。福井で行ってみたかった観光地No.1は、勝山市長尾山総合公園・通称「かつやま恐竜の森」、ご存知福井県立恐竜博物館のある公園だ。


小さい頃に上野の国立科学博物館で大興奮で恐竜展を見て以来（その時の自由研究資料は人生最高の出来だ）、やたらと恐竜に惹かれる。骨格標本やフィギュアを見るにつけ、あんなに度肝を抜くような図体の生物が闊歩していたのか！とそのスケールに慄く一方で、環境変化によってそれらすべてが絶滅してしまうという、太古からの生命の歴史にも馳せ、想像は果てしなく広がる。

…などとそれらしきことを書いてみたが、実は単純に、CG恐竜映画などで見るあの咆哮や、地鳴りの如し足音、しなる長い尾や、獰猛な歯など、怖いもの見たさで興奮するのが楽しいだけなのかもしれない。そう思い直したのは、この公園敷地内にある「かつやまディノパーク」に行ったからだ。

そもそも、今回はこの「かつやまディノパーク」が目的といっても過言ではない。これまで色々な恐竜展を見てきたので、正直骨格標本もフィギュアも大方予想がつく。勝山市までわざわざ足を延ばした理由は、まさにこの地で化石が見つかったという発掘現場ならではの特別感と、「かつやま恐竜の森」という広大な敷地に配された展示物、とりわけ「かつやまディノパーク」なる、テーマパークのようなこの展示に興味があったからだ。

そう、「かつやまディノパーク」は、もはやテーマパークだ。清潔で静かな博物館に鎮座している標本を見て回るのではなく、歩いていると出くわす、森の中に配置された実物大の恐竜たちを見て回る展示なのだ。木立に潜む、映画に出てくるような精巧なフィギュアたちはなんと、動く。そして、咆哮する声が辺りに響き渡る。


パーク内を歩いていて出くわす恐竜は、見慣れた日常的な景色との対比で、その異質感が半端ない。しかも、屋外の方がその大きさをリアルに実感できるので、フィギュアだとわかっていても怖い！！

あるものはゆっくりと頭をもたげ、あるものはその尾や翼で周囲の草木を揺らし、森の中に彼らの声がこだまするのだから、臨場感この上ない。お化け屋敷に足を踏み入れる時のおっかなびっくりな自分が予想できたので、まだ日の明るいうちに回ったのは正解だ。これが曇天や夕方だったら、私が子供であればきっと泣き出してしまうだろう。実際に、ご両親の足にぴったり体をに密着させ、必死に目を背けながら早足で立ち去ろうとするお子さんもいて、同情を寄せずにはいられない。

大人である私は、そのリアルさに興奮し、怖いけど楽しい！ジュラシックパークに来たみたい！と、思う存分楽しい時間を過ごした。お土産話として見せびらかしたくて動画も撮りまくったが、むろん実物には敵うまい。
私の拙い動画よりも、「かつやまディノパーク」公式の動画の方がわかりやすく説明してくれるだろう。

https://youtu.be/1Z5XEkv3U3I

福井市から離れた勝山のこんなところで、こんなに面白い体験ができるなんて！こういう体験は、現地に行かなければ味わえないワクワク感だ。これだから旅はやめられない。

黒川紀章さん設計の福井県立恐竜博物館の建物は、恐竜の卵のような丸いフォルムだ。銀色に輝く外観は意外と周りの自然にも溶け込み、車窓から見てもあまり違和感がない。


入口を抜けると、建物の中央を突っ切って長くのびるエスカレーターで一気に地下に降りてゆく。熱海MOA美術館もいくつものエスカレーターを乗り継いで昇っていく構造だったが、山沿いに建てられた建物の内部に、エスカレーターで入ってゆくという行程は、なんだかSFっぽくて好きだ。


館内の展示も非常に盛沢山で、回遊式で見て回りやすい。骨格標本展示だけでなくジオラマやシアターも駆使していて、飽きさせない工夫が凝らされているのが印象的だ。発掘現場再現や、化石クリーニング室を見学できるのも、実際に化石が見つかった土地ならではの見せ方で、興味深かった。

敷地全体が山の上にあるので見晴らしが良く広々とした場所で気持ちが良いし、恐竜フォルムの長い滑り台などの遊具を設置した広場や、発掘体験が出来るスポット、巨大昆虫冒険ツアーなどもあるので、子供と一緒に一日遊べそう。近県の方ならドライブがてら立ち寄って、気軽な気持ちで遊びと学びを楽しめるんじゃないかと思う。


いや～、楽しかった！いつもは庭園や美術館など、ゆっくり静かに過ごせる観光スポットを回ることが多いので、アトラクション要素の強い、こんな所もたまにはいいなぁと感じた。勝山まで行ってみてよかった！