無芸大食・読書亡羊~美味しいものと本と旅~

美味しいものと本と旅が至福であり、生きがい。インスタ映えや星の数じゃなく、自分がいいと思えたものとの出会いを綴ってゆきたいです

福井県勝山市「平泉寺白山神社」~栄華を偲び苔を愛で~

今回の福井旅行の観光は、「かつやま恐竜の森」と、もうひとつが平泉寺白山神社。同行者の希望で行くと決まるまではどんな場所かも知らなかったのだが、写真で見ると「苔寺」の異名をとる苔むした境内の深い緑が素晴らしく、苔庭ラバーの心がくすぐられ、ワクワクが高まった。

こちらも勝山、しかも駅から離れた場所で、やはり交通の便は良くない・・・。
目的地近くに停まるバスも数えるほどしかないので、往復を考えて朝早くから出かけることにした。
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福井県の最高峰・白山は山岳信仰の対象として古くから崇められており、この
平泉寺白山神社は、越前における白山信仰の拠点だったそうだ。明治の神仏分離令が発令されるまでは、最盛期には8000人もの僧兵を抱えるほどの大きな勢力を有していたらしい。

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朝の早い時間ということもあり人も少なく、静謐な空気の中、ゆっくりと参道を上がりながら散策する。両脇の地面は見事に苔むしているのだが、
じめっと暗い感じはせず、木立から差し込む木漏れ日があたると、ファンタジーの世界のような眺めだ。
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白山を背に広がる境内は広く、なだらかだが長く続く山道を奥へ奥へと進み、やっと本社に辿り着く。こうして歩いてみるだけでも、広大な敷地を有していたかつての勢力が実感出来るなぁ・・・。

本社の外観は質素で小ぶりながら、凝った龍の宮彫りが見事だった。
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平泉寺自体は大正時代に焼失してしまっているが、現在は埋もれていた遺跡の発掘作業が進められており、東側にある南谷発掘現場も見学することが出来る。発掘された中世の石畳部分には、僧兵の出入口跡や門扉跡などもあった。

この発掘現場の方は木立がなく、ひらけた場所なので、境内よりも更に広さを感る。信仰の象徴である白山を背に町を見下ろすこの場所に立ってみると、白山信仰の盛衰が実感を伴って感じられた。
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幸い今回の旅では天気に恵まれ、この朝も寒さを感じることはなく、山の斜面にそった緩やかな坂道を上り下りしていると軽く汗ばむくらいだった。静かな苔庭も、見晴らしの良い山の眺めも眼福で、良い場所を提案してくれた同行者に感謝!