無芸大食・読書亡羊~美味しいものと本と旅~

美味しいものと本と旅が至福であり、生きがい。インスタ映えや星の数じゃなく、自分がいいと思えたものとの出会いを綴ってゆきたいです

【散歩ノート】もはやミュージアム~銀座伊東屋リニューアル~

6月にリニューアルオープンした銀座伊東屋がずっと気になっていましたが、やっと足を運べました。
誰でも親しみやすく一般的な文房具や生活雑貨を扱うG.Itoyaと、額装や地球儀、万年筆など
マニアックな文房具ファン垂涎のアイテムが並ぶK.Itoyaに分かれています。

まずは中央通りに面したG.Itoyaから。
入口からしてスタイリッシュに生まれ変わっていて、ドリンクバーも兼ね備えた1階フロアに続く空間が
とても開放的1階はオリジナルのグリーティングカードが中心で、カラフルなイラスト入りを始め、
3D感満載のポップアップタイプ、和の色使いが美しい工芸品のようなタイプ、精巧な切り絵やライン
ストーンを施した豪華なものなどよりどりみどりで、眺めているだけでも楽しい
この日はカードと共にモダンな扇子もディスプレイされていて、目にも涼やかでした。

フロアはデスク周り用品、旅行用品、クラフト関連などそれぞれにテーマが決められていて、
最上階である12階には中央通りに面したカフェもあり、眺望も楽しめそうです。
11階には水耕栽培の野菜がディスプレイされています。もちろん食べるための野菜として育成されて
いるもので12階のカフェでも使われるそう。整然と並んだグリーンが美しくてついパチリ。
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そのほかのフロアも、美しいディスプレイと機能美あふれる小物たちにいちいちテンションがあがり、
物欲センサーに触れるものばかり。何度も財布の紐を緩めてしまう衝動を押し留めるのに必死でした。

そして、何よりも心打たれたのは8階の「クラフト」と7階の「ファインペーパー」のフロア。
古来より伝わる伝統工芸から最先端の技術もひっくるめて、日本の紙文化の質の高さとその美しさに
釘づけになりました。和紙の手触りや色味の見事さ、千代紙の鮮やかな模様の組み合わせの妙や
凝った文様の精巧さなど、どれもため息が出るほど素敵なものが揃っていました
店員さんに断って写真を撮らせていただきました。まるで着物の反物が並んでいるかのようです。
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7階のファインペーパーには色見本はもちろん手触りや軽さなど様々な種類の紙のサンプルが一堂に
会していて、その多彩なグラデーションは圧巻の一言。店内ディスプレイというよりも、ミュージアム
アートを鑑賞をしているような気分になります。
店内には外国人観光客も多く、思わずほらこれ見て見てと自慢したくなってしまいます。

以前の伊東屋においては、入り組んだ店内を宝探しをするみたいな感覚で歩くのが好きでしたが、
リニューアルした店舗は広々と開放的で居心地が良く、各フロアのテーマがより明確になっているので
とても見やすくなった気がします。リニューアルにあたっては「モノを買う店舗」から「過ごせる店舗」を
目指したとのことですが、まさにその言葉の通り

私自身は不器用この上なく、クリエティビティとは無縁の者ですが、工芸品を見たり美術館へ行ったり
「誰かが創り出したもの」や「製造過程」「製造に用いられる道具」などを見たり知ったりするのは大好き。
ふだんは静かにしている脳の奥底の何かが躍り出すような、不思議な興奮を覚えるのです。
リニューアルした店内ではそれに似た高揚感が味わえて、すっかり夢中になってしまいました。

アイコンである赤いクリップも鮮やかなG.Itoyaは、銀座で待ち合わせするのにぴったりの新しいスポット
になりそうです。目的なくぶらぶらと眺めているだけでも十分楽しめるので、ここでならたとえ待ちぼうけを
食らってもへっちゃらです。

思いの外Gの方で時間を食ってしまったので、今回は時間切れでKのフロアまでたどり着けず
次回はあちらも拝見してみたいと思います。