無芸大食・読書亡羊~美味しいものと本と旅~

美味しいものと本と旅が至福であり、生きがい。インスタ映えや星の数じゃなく、自分がいいと思えたものとの出会いを綴ってゆきたいです

上野「東京国立博物館」~トーハクに夢中!~

東京国立博物館(略してトーハク…は公式略称のようです)は、現在は「クレオパトラとエジプトの王妃」展、そして前回は「鳥獣戯画」展と、敷地内の「平成館」での特別展示が毎回大きな話題となっている、日本初の国立博物館です。ここには日本美術を展示する「本館」を筆頭に、「東洋館」「表慶館など、他にもいくつか展示館があり、その膨大なコレクションが面白くてここ数年折に触れて通っています。
 
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今回は、おもにアジアの国々の展示品を扱う「東洋館」を見に行きました。「ミイラとエジプトの神々」展を開催していて、地下にあるミュージアムシアターで上映される「東博のミイラ デジタル解剖室へようこそ」という作品も含めて非常に興味があったからです。

このミュージアムシアター、トッパン印刷のデジタル映像のノウハウを用いたバーチャルリアリティ作品が目玉で、本来肉眼で見る事の出来ない文化財の一部を可視再現化したしたり、3D計測やCTスキャンによって360度様々な方向から文化財を眺めることが出来る異次元体験が出来るのが面白いのです。
 
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この作品は、トーハク東洋館に常設されているミイラ(国内で2体しかないミイラのうち、常に展示されていて「いつでも見られる」のが最大のウリ!)の内部を最新技術で紐解き、ミイラ化した人物の人間像やミイラを作るまでの過程が、映像によって分かりやすく解説されており、何よりも映画を観ているみたいで楽しくお勉強出来ます。

夏休み中からの開催とあって親子で鑑賞できるように創意工夫が凝らされていて、歴史や考古学や美術などの入口として、こんなに面白いとっかかりを用意されている今の子供たちをとてもうらやましく思いました。私が子供の頃にこんな仕掛けがあったなら、もっともっと「学び」が楽しかったに違いありません。
 
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館内の展示も、アナログとデジタルの両方からのアプローチによって、「魅せる」展示への取り組みが随所に感じられます。この日はインド・ガンダーラ彫刻を中心に見て回りました。

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特定の宗教に属さない私でも、仏像のアルカイックスマイルを眺めていると心穏やかな気持ちになれます。同じ仏像でもインド・マトゥラーのものよりも、パキスタンガンダーラの方が西洋彫刻の影響を受けているため、彫りが深く凛々しいお顔立ちなのも面白いですね。

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トルコやイランで出土された絵付け皿の鮮やかな色使いとセンスに驚いたり、古代のあれこれを想像しながら見ていると妄想が止まらず、時を忘れます。一部を除き写真撮影も可能なのも嬉しいところ。日本でもだいぶ撮影OKな美術館や博物館が増えてきました。

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1フロアをじっくり見て回ると1時間あっても全然足りないので、この日も東洋館すら制覇出来ず。美術鑑賞は注視するし、小刻みに歩き回るので意外と目と足腰に来るのです…。

10月末には平成館では「始皇帝と大兵馬俑」展が始まるし、リニューアル中だった考古展示室(埴輪や縄文土器)もオープンするというし、そろそろ本気でトーハクパスポートの購入を考えようかな…。

2015年9月某日の旅先: 上野「東京国立博物館」